■ 環境・エネルギー問題
2年半前、あの異常事態で私たちは何を学んだか?幸いこの地域は地震による直接被害はありませんでしたが、原発停止による電力不足の状態を経験しました。大規模停電を恐れるあまり、計画停電で急場をしのいだわけですが、それでも我々の生活がいかに電力に依存したものであるか知らしめられるに充分なものでした。
計画停電ですから時間は知らされているとはいうものの、いきなりガシャン!と全部の電気製品が止まるのです。照明は勿論、暖房、冷蔵庫、給湯器、電話・・・仕事も全く出来ません収入が絶たれます。外へ出ると田舎へ来たように静かです。全ての工場、商業施設が閉鎖して、コンビニ、ガソリンスタンド、銀行も閉鎖です。ガソリンや水はポンプが動かなければ出てきません。現金やカードの決済も不能です。お金が役にたたない世界であります。パソコンやTV、ラジオも聞こえませんから情報もえられません。
短期間ではありますが電源が失われた世界を目の当たりにして、まるで現代人は水槽で飼われている金魚のように電気に依存して生きていることが分りました。
時間が経つと人は忘れてしまいますが、事故の影響は継続していることを報道を通して知らされますが、この事故収拾に関る費用は私たちが納めた電気料金以外に無いことを思いますと、「原発は関係ないんだ」とか「収拾に当たるのは東電や政府だ」とか言ってられない状況です。特に東電関内の人全てあそこからの電力で仕事をして生活してきたわけですから、事態の成り行きは注目していかなければならないと思います。
さて、汚染水漏れですが、原子炉建屋も吹き飛び、圧力容器も溶け落ちて露天にむき出しの核燃料が地中に潜りこんでいることは予想がつきますが、地下水や雨水が容赦なく核燃料を洗う状態が続いているわけです。なんとか海への流出を防ごうという努力が続いています。何故海への流出がまずいのかは誰でもわかりますよね。海産物への影響は勿論ですが、海流に乗っておそらくアメリカ西海岸に放射線物質が流れ着くのが予想されるからです。既に諸外国は注目しているわけですから、被災地域だけの問題ではなくなってきます。
東電は発電や送電のプロでありますが、異常事態に対応するプロではないので、対策が後手になりがちで、長期間続くはずの対応策も急場しのぎの状態です。汚染水の貯蔵タンクを映像で見ましたが円筒上のタンクはR曲げした鉄板の合わせ面をボルトで締め上げて気密を得る構造です。底板と天井も平板をボルトで繋ぎ合わせた大きな円盤です。
そこで疑問がありますが、鉄板のあわせ面が密着できるほど高精度な加工で、しかもあの大きさです。タンク1個で1000tの水を貯蔵できると報道されていましたが、漏れたタンクの水位が3m低下していたので300tが流出したという試算なので、タンクの寸法は内径5.6mで高さ10mということになります。水が漏れる構造のタンクを、あのような大きさで、地下水が流れ込む限り増設し続ける必要があるなど、いずれ行き詰まる対策だと思えてなりません。
しかも1000t以上のタンクは東電敷地内の土の上に置かれています。そこで地下水を汲み上げて核燃料による汚染水の増加を防ぐ対応もとられていますが、水脈が変わるとおそらく地面も沈んでくるでしょう。唯でさえ、基礎無しの地面に1000tタンク何百基ですから、底板が歪んで水漏れしているに違いありません。300トンも漏れて外観で見つからないのですから底板の合わせ面と考えるのが妥当です。
漏れる箇所は水を抜かなければ分るまいといって、汚染水を抜き始めていますが、分ったところで他のタンクも同じ構造だとどうなるのでしょう。常識的に考えると構造を再検討してやり直しということですが、財源は電気料金からということですから、とても「関係ないから」といって無視できない状況にあります。
どうなるのでしょう?これからの日本の電力事情は・・・
愛媛の実家に戻っています。自分の部屋の窓から見える四国連峰、この景色が見れるのも、あと20回はないだろうと思うと貴重なものになってきました。
谷間にある集落なので朝になっても、なかなか太陽が見えてきません。なので非常に時間が緩やかな感じがします。
今年はみかんと柿が出来すぎで収穫の時期なのですが82歳になった父親の手伝いをしておこうと思い帰ってきました。
本家の畑を買い取って山の方にも畑があります。柿、柑橘類、栗など果物は収穫したら形のよいものは農協へ出荷して、残りは家族や近所に分けて食べます。
家で食べる野菜は全て自家製なので買ってくることはありません。
果物は出荷できても、値段を聞くと、とても生活していけそうにありません。肥料や消毒で経費が掛かりますし、雑草が生えないように手入れも必要なので山での農作業は重労働で、農家の人はえらいと思います。
高圧の電線が仕掛けてありますが、イノシシが畑の土を掘り起こして作物を食べてしまうので防護のためです。最近は、おサルが山から下りてきて果物を食べるそうです。田舎暮らしは野生との共存です。畑だけではありません。近所の川で漁師さんが獲ってきたカニも分けてもらって食べました。子供のころは網で獲って、おやつにしていたやつです。
近くの郷土博物館にカブトガニが飼育されています。生きたやつを見れるのはここだけでしょう。
私らが生け簀に近づくと砂の上を這って近づいてきました。人にはなついている感じです。エサがもらえると思ったかもしれません。
甲羅の前方に二つとおでこのあたりに一つ、目があって、しっかり前を見ながら動いているのです。
愛媛は二十歳まで住んでいましたが、あまり観光地には行ってないです。東京の人が東京タワーへ行かないのと同じです。
今は田舎が観光地なので珍しいと感じます。歴史的にも有名な道後温泉本館です。
この構えで温泉も営業しているのですから貴重ですね。絶対保存してもらいたい建造物の一つです。不思議なタイムスリップが味わえますよ。
松山市街は路面電車も走っているのが、ここの風情です。
伊予鉄路面電車の始発は道後温泉駅です。駅前の格納庫に坊ちゃん列車の一号機が展示されているかと思ったら
なんと明治時代の制服を着た機関士や車掌が乗り込んできて、エンジン始動しました。
勿論、石炭燃料の蒸気機関です。
そして、格納庫からバックで営業軌道上に移動させて、駅のホームに出発です。
展示用だと思った、坊ちゃん列車は実際に営業運転してお客さんを乗せて走っています。
こんなレトロな乗り物を保存して動かしている愛媛県人の資質に誇らしく思えた瞬間でしたね。町がどんなに近代化されようとも先人たちの知恵や技術といったものを忘れないようにしていくことが、そろばん勘定だけを追及しては衰退していく現代人には必要なのではないかと思います。
シングルで最大排気量はDR800だと記憶していますが、これは2番目に大きいやつです。車体も大柄でいかにも外人向けな作りです。キックスターターもありません、セル始動なのが唯一の救いです。フルエキゾースト製作の依頼をお引き受けしたのですが、オーナーの境遇を聞かされて大変恐縮して作業に取り掛かっています。
それは、ご自宅が福島の強制避難区域にあるということ。避難先の社員寮に他のオートバイと一緒に移住しておられて、200km以上も自走して我社に車両もってきていただきました。
それを聞いたときに心を打たれました。原発事故がなければ自宅でそのまま好きなオートバイを大事にしながら過ごせていられたはずなのに、こんなことになってしまって・・・。幸い職場は再開されて経済活動はできていらっしゃるようですが、オートバイのことをあきらめないで乗り続けておられることに喜びを感じます。おそらく、大変多くのオートバイフリークが原発の影響を受けて、好きなことを諦めてしまったんじゃないかと察していたところです。
せっかく日本の原発がゼロになったというのに大飯原発は再稼動されるということです。高度成長期以降の日本の経済成長は原発を含めた電力がなければ不可能だったでしょう。もちろんこの経済を維持しなければ、社会保障や高齢者医療の財源が捻出できないということも充分理解できます。
しかし、原発再開に導く政策を決めているのは都市部の便利で快適な生活を営んでいる富裕層であろうということ、こういう人たちは、もう少し田舎に引っ越されて質素な生活を経験した方がいいと思いますよ。浪費している一部の人たちの幸福という名のもとに生活レベルを支えるために大きな犠牲を払ってしまった。なにより、処理困難な核廃棄物を作りつづけ、使用済み燃料プールももうすぐ満杯になってしまうというのに、最終処分の方針も全くきまっていないまま、この経済活動を続けるという動きは確実に将来、大きな災難が降りかかってくることを意味しています。何の反省も改善もみられない、事故の収束も止まったまま、国家のリーダーたちの采配に落胆するばかりです。
現実は待ったなしです。先送りはできません。
結構仕事溜まっていますので、長くお待ちいただいているお客さんの希望に応えるために働き続けます。
XR650のデュアルエキゾーストは複雑な曲げカーブが必要なのでSUS304のパイプをこれだけの数曲げて、取り回しします。
SUS304は耐熱合金なので800℃くらい加熱しても強度があまり変わりません。手首の靭帯が切れてしまいそうな力を込めて曲げなくてはなりません。
R曲げ9箇所になります。
溶接つなぎ終わりました。
クロスしたエキパイの製作は通常の1本ものと比べると加工時間が3倍になります。
ところが費用も3倍にはできないというところがこのエキパイの難しいところです。
材料代は現金で仕入れておりますので削減できませんが、人件費を削減して対応しております。
ヒートガードも頼まれましたのでアルミ板金で製作しました。
最初はカーボンファイバーで、と言われたのですが我社では樹脂は扱っていませんので外注することになりますが、おそらくマフラー代よりも高額なヒートガードが出来上がってくると思いますので予算オーバーになります。
そういうわけで、これでしたら半日あれば充分なので迷わず実行です。
フルエキゾースト完成です。
エンジン始動してみましたが、さすがビッグシングル!セルモーターでも始動にはコツがいる感じです。ホットスターターは付いていないCVタイプのキャブです。
たぶんキックスターターだとこのマシン嫌いになるでしょう。
チョークとアクセルチョイ開けの併用で目覚めました。バッテリーの電圧が命ですね。暖気運転中、エンジンストップして始動不能になって焦りましたが、10Aヒューズが切れていました。結構な発電能力を持っているようです。
ブローバイガス還元装置は取り外し大気開放にしましたのでエンジン回転が軽くなった気がします。ブリザーチューブから排出される圧力がエンジン内部に掛かっていることを考えると馬鹿にできないポンピングロスなのだと思いました。ノーマルの還元装置はブローバイガスをキャッチタンクを介してインテークに戻すしくみになっています。すなわち、エンジンの吸入負圧でケース内の圧力を抜くと同時に未燃焼ガスを再吸入して燃やすという働きをします。この装置を取り外したメリットはブローバイガスに含まれたオイルミストなどをインテークに吸引せずインテーク通路をクリーンに保つということです。万が一装置が故障してもケース内の圧力が上昇してしまうこともありません。
耳の痛い話ですが、80年代のモトクロス全盛期に存在したレース場のうち9割以上が無くなっている現実をご存知でしょうか。
関東では新潟の川西モトクロスコース以外、全てのコースが閉鎖されてしまいました。現在はその後つくられたコースで運営されていますが、コースが閉鎖される理由は幾つかあると思います。その一つに騒音問題というものがあって、コースの近隣住民から苦情を受けて対策を迫られるということがあるようです。
2輪メーカーは、国内においてはMFJ公認車両を製造することが、目的でありますから
MFJ公認レースが開催されて、それに適合した車両が販売されれば目的は達成なのです。近隣から苦情を受けるような場所でレースすることについては対応できないということが現状でしょう。実際、全日本開催コースで苦情がでた話を聞かないですし、市街地であったとしても川口や伊勢崎のオートレース場ではモトクロスの比較にならない爆音でレース開催できていますし、その場所で暮らす人たちの認識の違いもあるでしょう。そんな折、関西方面のコースでも騒音問題で一部車種が走行を断られるという対応をされているようなのです。あちらのコースで走られているお客さんから依頼がありまして、2011モデルYZ250Fのマフラーを消音加工してみました。お客さんの話では2012CRF250レベルだと問題ないそうで、カワサキかヤマハが問題の対照となっているということです。
送られてきたマフラーはYZ250FのUS仕様のサイレンサーとエキパイで、国内のノーマルより当然、うるさいとおもわれます。比較検討のため、ノーマルは手をつけずにUSの方を加工することになりました。
よく暫定的にマフラーの出口にバッフルを装着することがありますが、チューンアップされたエンジン性能を損ねることと、バッフル長が短く、出口付近にあるため風切り音が出てしまい、耳障りな音に変わったりして満足な効果は得られないでしょう。
目的は暫定的な処置ではなく、CRF250並みの消音性能を目指すということで、取り外せる仕様にはなっておりません。
リヤパイプの内径を縮小しつつ、長さも延長しています。排気の吸い込みが有利になるように吸い込み口をテーパー状にしてあります。パンチングの太さはパワーに影響しますので細くしません。
マフラーの容積がCRFより小さいので同等にはならないですが、ノーマルに比べると違いが歴然となるでしょう。
グラスウールが消音する上で重要なアイテムになります。
US仕様に組み込まれていたのは旧型のノーマルグラス&ステンウールでしたので、ホンダ純正に取り換えました。ヤマハさんに申し訳ないですが、こちらの方が消音性能が上なので、純正部品代7600円投資する必要がありました。
CRFサイズは画像の通り量が多いのでYZ用には2割ほどグラスウールを間引かないと入りません。
エキパイもノーマルにサブチャンバーを仕込みました。騒音は1dBほど軽減されますが耳で聞いた程度ではあまりわかりません。
車検で数値ギリギリだったとすると1dB余裕ができるといった具合です。
パワーアップは殆ど変わらないでしょう。むしろ大人しい特性に変わります。直管に横穴が開いてサブチャンバーに入ることになるので排気の勢いが下がり、パワーがマイルドで騒音も少し減るということになります。
マフラーは排気することだけでなく、燃焼室と吸気系が連動していて、排気された分だけ空気が吸入されて適正な燃料がミックスされることで充填効率が上がってパワーアップに繋がるということです。マフラーに蓋をして騒音を下げるという手法は吸入の妨げになってパワーダウンすることになります。
パワーダウンは承知で、そのコースで走り続けるか、問題ない場所まで移動して走るか、いずれにしても最盛期のモトクロスから比較して、やりにくい時代になってきたと思います。
現代の2輪車は大型車から原付自転車まで燃料噴射を標準装備する時代。
4輪車は30年ほど前からキャブレターから燃料噴射へ移行していたのに2輪が遅れていた理由が解ったような気がする。
最大の理由は排出ガス規制に対応することにあった。
2輪の場合は規制が強化されたのが最近であることと、4輪のような高性能な燃料噴射装置を採用する車体のスペースと販売価格の低さが、開発の遅れとなって表れたのだろう。
地球温暖化の対策や低公害、省エネのために自動車会社の出した答えはハイブリッド車に並んで
高性能な燃料噴射装置の開発であった。
コモンレール式燃料噴射とピエゾ素子インジェクターが現代最高の環境対応技術といえるだろう。
ピエゾ素子は圧電素子の一種で、応力を加えると電流が起きる物質の総称で
温度、加速度、超音波など各種センサーに使われたり、身近なところにはエプソン、リコー、ブラザー社のインクジェットプリンターはピエゾ素子を使ってインクを噴射している。
写真のような精巧な噴射制御が出来ることからも、燃料の噴射制御も正確に行えることが想像できる。
原始的な燃料噴射は機械式の燃料ポンプで燃圧を上げて、バネで閉じられた弁を圧力で開けて噴射する方式。当然、正確な噴射はできなかった。
燃料の排ガスに与える影響は濃い過ぎるとPM(黒煙)が出たり、燃焼温度が上がってNOxが増加する。薄すぎると出力が出ない、不完全燃焼でCOやHCが増えるといったところ。
コモンレール式燃料噴射は蓄圧式とも呼ばれ、燃料ポンプが単なる燃料の供給ではなく、最新式では2000気圧という超高圧で燃料を加圧して、インジェクターに供給する。
酸素やアルゴンなど高圧ボンベが150気圧なので、その10倍以上だ。
何故そのような高圧が必要かというと、圧縮された燃焼室に微細な粒子として燃料を噴射させるためである。粒子が微細なほど燃焼という化学反応が迅速かつ確実に行われ、出力の向上と排ガスの清浄化に役立つのだ。
それからピエゾ式インジェクター、これは従来のソレノイド(電磁式)バルブに比べ、応答が速いのが特徴で
最新のソレノイドでも1回の燃焼に1から3回の噴射に対してピエゾ式は最高で7回の噴射が可能だという。
噴射間隔でいうとソレノイド式が900分の1マイクロ秒、ピエゾ式が1万分の1マイクロ秒である。
この1燃焼に対して多段噴射が必要な理由は、燃焼を段階的に発生させることで、完全燃焼と燃焼温度を低減させることだ。
そのために、コモンレール式燃料噴射とピエゾタイプインジェクターが不可欠ということだ。
残念ながら製造コストが非常に高価で、おそらくシステム全体で自動二輪車1台分くらい必要だろう。
それ故、2輪車にこれが採用されることは現実的ではない。
最初にコモンレール式燃料噴射を量産したメーカーは1995年、デンソーである。
主にトラックの直噴用で車両価格が1千万円クラスなので採用できただろう。
それに対して高級乗用車をターゲットにコモンレール式を量産したのがボッシュだ。
BMWやメルセデスベンツなので高額なシステムでも全体の割合からすると大したことはない。
遅れをとって後にトヨタレクサスにもデンソーのシステムが採用された。
我々の興味があるのはオフロードレーサーの燃料噴射システムだが
認定モデルではないため、排ガス規制の対照ではない。
したがって、高額な投資をして燃料噴射を開発する必要がない、キャブレターでも充分な性能が出せるなど、4輪のような高性能な噴射装置は装備しないだろうと考える。
4輪のような燃焼室直噴も聞いたことがないし、吸気通路に空気と混ぜてポートから吸入する
ウォールガイド式(空気流動で成層化)が主流だろう。
これが進化すると、ストイキ直噴(理論混合比で成層化)、スプレーガイド式直噴(高圧で噴霧で成層化)ということになり、吸気管内方式と比較して15%も燃費低減できるという。
こういうわけで、全ての認定車が燃料噴射に移行してきたように、車両価格の高いレーサーから燃料噴射化が進んでいくのが時代の流れなのだろう。
いずれ小排気量車も製造コストの問題が解決次第、移行することになるだろう。