連日猛暑日であろうと、世間はお盆休みであろうと、私には関係ない。
大勢のお客さんが私の作るマフラーを待っていることも充分承知しているが
どうしてもやらねばならないことがある。
これをつけて走るとどの様な喜びがあるのかは私は知らない。
これは私が考えて作ったものではないが、作った人に再び頼めない理由は
製作者がやめてしまったためであり、既に廃盤の商品になっているからだ。
それなのに、この見本だけで製作に必要な加工寸法を割り出し、材料を選定し、切削工具も購入し
取り掛かっている。
おそらく全工程に費やす時間は100時間を越えるだろう。
時間工賃を1000円で計算しても10万円になるが材料代や工具代は別に実費で払わなければならない。
おそらくこれを希望するお客さんは、そのような計算は一切、頭の中にはないだろう。
もちろん、掛かった全額をお客さんに請求するつもりは毛頭ない。
最初から利益にならない仕事だということを私は分っていたからだ。
それでは何故、儲からない仕事を引き受けたかというと
やってもいないことを、大変だということが嫌いだからだ。
自分がやって経験したことだけが、語っていいことだと思っているからだ。
アルミの塊からマニュアルのフライス盤で削り出す。この加工時間を加工しないで算出できる人がどれだけいるだろうか。これはピボット部分のパーツ
土曜日夕方までかかってここまで出来た。
クッションブラケットとリヤアクスルのパーツ。図面が無いので寸法計測しながら加工していくので
非常に時間がかかる。明日のレースの整備があるので、これにて中断。
本日はアーム製作。
手前がアームの型で、上の4つが絞って出来たアームの部材。
作り方は教えてもよいが、割愛しておく。
よく、作り方を自分で考えないで他人に聞く人がいるが、
調べたり、トライする努力なしに安易に情報を得ようとする行為なので適当に答える。
自分で考えて物事を運ばない人は、新しい物を考案する能力は得られないと考えられるのだ。
アームを溶接で接合してから、スイングアームの形状に合わせて曲げてある。
組み立て治具に各パーツを固定し、仮留めする。いよいよ本溶接ができる状態だ。
溶接完了し、バフ研磨して組み付け確認。
100時間を超える全工程が終了した。オリジナルに引けをとらない仕上がりではないか。
こうして絶版のスイングアームは復刻された。溜まっているバックオーダーが恐ろしい。