MTBプロライダー、日本人として始めて海外メーカーと契約し世界選手権を走った世界ランカー。
アジア選手権2連覇、JCFシリーズチャンピオンなど輝かしい戦績をもつダウンヒルライダー
井出川直樹選手はホンダレーシングとも契約してRN01で戦ったこともある。
現在、彼は京都のダイアテックと契約し、カナダのEVIL(イービル)というメーカーの自転車に乗っている。
しかし、このEVILは国内に1台しか輸入されておらず、
即ち井出川選手専用のプロトタイプでスペアマシンもない。
これが、EVIL社スイングアーム、部品単価は聞いてないが、メインフレームだけで40万円くらいだそうだ。
これをハンドワークで1品だけ製作頼まれても、この前のスイングアームより3倍くらい手間が掛かりそうだ。大体、切削部品をこのクオリティで仕上げるにはNC(数値制御)マシンに頼るしかないわけだが、NC加工の工賃は段取り1回の金額なので1個加工するのと50個加工するのとあまり変わらないので、1個だけ加工すると莫大な金額になってしまうので普通はやらない仕事だ。
幸いこれは2箇所のヘアクラックを補修するだけなので問題はない。
クラック2箇所、塗装を剥離してからTIG溶接することになる。
亀裂を溶接だけでは再び発生してしまうだろう。
再発防止のために補強パッチを追加しておく、これで寿命は格段に向上するはずだ。
こちらはビード肉盛りで様子をみる。
このスイングアームは左右非対称な接合方法で、こちら側だけ突き合わせになっていることが
強度不足の原因とおもわれる。
高負荷の足回り部品を溶接する場合、荷重の方向に対してなるべく長手方向に接合することが
セオリーなのであるが、突き合わせが最も不利な条件なのである。
いずれにしても日本屈指のダウンヒルレーサーが溶接修理を頼ってきてくださったことに感謝いたしまする。