昨年末にピストン交換とヘッドメンテナンスしたので、新しいうちにパワーチェックしてみました。
CRF150Rの主要諸元によりますと最高出力24.5ps/12500rpm、最大トルク1.47/10000rpm
ということですがカタログ数値はカウンター出力(エンジン動力計による測定)である場合が多く後輪出力よりも数値が高く表示されているはずです。しかも上記の数値は2006年当時の96dB仕様のマフラーで現行の94dB仕様とは異なるデータに違いありません。実際のパワーは駆動系のパワーロスを含みますので実測の数値を知っておくことがチューニングの指針になることは明らかでしょう。
測定は我社から徒歩2分という近さのmotoGLADさんに依頼しました。マシンを押して行けるほどの距離にあります。
motoGLAD店舗風景
日光街道杉並木(R407)沿い
我社から国道を隔てた向かい側に位置しておりオンロード系の販売、整備
レーサーの製作などが主な仕事です。
ダイノジェット測定室です。
マフラーに差し込まれているのはA/Fセンサーで回転数毎の空燃比も同時に測ります。
CRFはダイレクトイグニションのため回転数のパルスをコイルから検出できません。コイルにつながるハーネスを調べてCDIユニットのカプラー付近から検出できました。
測定は2タイプで行いました。
昨年使ったモディファイ品とSTD品をそれぞれ付け替えてみました。
普段走行に使用している状態と完全ノーマル仕様の出力カーブとA/Fを把握することが今回の目的です。
エンジン温度の変化によっても数値が変動するということで、熱ダレしてくると数値が下がってしまうということもあり、1時間くらいの冷却時間を空けて別々に測定しました。
モニターの画像は左がスピードメーター、
右がタコメーター、下の横長のグラフが
Air、Fuel Ratio(空燃比)を表しています。
運転状態をリアルタイムで確認できます。
測定データーはパソコンに保存されプリントアウトできますので次に説明します。
完全ノーマル仕様のグラフ
MAX POWER=20.3PS
9500rpm付近がピークで緩やかに下がっていきます。レブリミットは13500rpm
MAX TORQUE=1.3kgm/ 12500rpm
上の曲線は馬力のデータ、下の曲線はトルクのデータを表しています。
その下はAFレシオ(空燃比)データを表しています。
やはりカタログ数値とは違っています。7500rpm付近で曲線が下がっているのは
MXタイヤのためドラム上でスリップして計測が一瞬途切れた状態とのことで、パワーの立ち上がりが急激であることが考えられます。
AFレシオは燃料1gに対しての空気重量(g)を表しています。理論空燃比は14.7ですが
7500rpmまでは14.5ですから理想的といえます。11000rpm以上は13.7付近で推移して理想よりやや濃いめ、8000から10000でレシオが下がっているのは加速ポンプの影響で燃料が濃い状態だと思います。パワーを出すためには理論より濃いめにするため、これを標準のデータとします。
92dB仕様のグラフ
MAX POWER=20・1ps/9500rpm
MAX TORQUE=1.3kgm/12500rpm
ピークパワーはノーマルと殆ど変わりません
音量を絞った場合、パワーも下がってしまうのが普通ですがパワーを落とさないで音量を下げることに成功したことを証明しています。
AFレシオが6500rpmまで17.7という薄い数値が出ていますのでキャブセッティングで濃い目に振ることでもう少しパワーを得られることが予想されるデータでしょう。特筆すべきは加速状態のカーブがノーマルと比べて、非常にフラットトルクに変化していることです。次に両方の曲線を重ねて表示してみます。
赤い曲線がノーマル、青い曲線がモディファイ品を示しています。
ピークは僅かにノーマルが上回っていますがその前の数値はモディファイの方が上廻っていることがわかります。
オーバーレブ付近もモディファイの方が回転が伸びているようです。
AFレシオ比較もキャブレターのオーダーは同じですがこのように変化します。
モディファイ品が薄く出ているということでさらに燃料を増やした方がよいということが予想されます。
こうしてパワー測定をしながらキャブレターセッティングの方向性も教えてもらえるダイノジェットがエンジンチューニングの強力な味方になることは言うまでもないでしょう。
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