2ストトレールは健在です。これは公道バージョン、オンロードタイヤでフロントインチダウンされています。
外装も丁寧にカスタムされていて、大事に乗られていることが分りますが
94モデルなので登録から17年経過していて、走行距離は5万キロくらいだそうです。
さすがに、このまま乗り続けるのは不安だということでエンジンOHすることになりました。
社外のチャンバーも激しく凹んでいます。これはオーナーがヤフオクで凹んだ状態のものを安く落札したそうですが、普通は社外品の修理はお引き受けしません。それは、マフラーメーカーか販売店が対応すべき仕事だと考えていますので、私が社外品を使い続けるために救済する必要は無いと思っているからです。
トヨタの販売店にホンダ車の修理を頼むようなものですからね。そうは言っても、こちらのお客さんが、この車両を総合的に直したいと依頼してこられているわけですから、その一環としてチャンバーの修理も行います。
リヤショックはオイル漏れの上、バンプラバーもウレタンが崩れて無くなっています。ショックもOHして機能回復しなければなりません。
チャンバーはエキパイ部分から全体に潰れていて、まともな状態ではありません。ここまで潰れていると商品価値はゼロだと思うのですが、ヤフオクではこのようなものに5千円の値段をつける人がいるそうです。明らかにスクラップであることを付け加えておきます。
オイル漏れの激しいエンジン。シリンダーベースにコーキングが見られますが、ガスケットが吹き抜けていることが予想されます。
さすがに5万キロのダメージが蓄積されているのでしょう。
これから全バラして修復することにします。
排気デバイス、KIPSの部品です。
遠心ガバナーにより駆動される可変ポートタイミング機構です。ラック&ピニオンで中央のスライドバルブと左右の回転式バルブが低速域と高速域の排気ポートタイミングを変化させて、幅広いパワーバンドを稼ぎ出します。
しかし、その部品点数の多さは4ストロークエンジンの動弁系より多く感じられ、メンテナンスの工数も、こちらの方が上です。
エンジン部品全部。ばらすだけでなく、相当な汚れが付着しているので、全部洗浄してからメンテナンスに入るので非常に時間がかかります。
汚れが付着していると、小さい傷や磨耗の状態が判断できませんので、整備の方針を決めていく上で重要な工程です。
こうして、交換部品のリストアップが可能になります。
従って正確な見積もりはこの段階以降でないと分りません。
エンジン整備には夏でも石油ストーブを使います。
ベアリングの交換にはケースを熱膨張させて、脱着します。これはケースにダメージを与えない方法で
プレス機を使った圧入では圧入面がかじって、小さい傷がつきます。そのため折角、真円に加工された穴やベアリングが偏芯してしまうので、それを防止します。