元英国皇太子妃ダイアナさん2回目の来日のときでした。90年11月(29才)
当日の朝まで訪問されるVIPの名前は極秘扱いでしたが、自動車の製造現場に王室の方が来られることは非常に異例だと思います。
これも、英国人が自動車の文化に親しみがあり、モータースポーツにも理解が深いことを表している証拠です。皇太子妃をお迎えするために、ホンダエンジン搭載した英国コンストラクター、マクラーレンのレースカーと出来上がったばかりの新型車NSXを、工場の中庭に展示していました。
これほど貴賓に満ちた女性を見たことがありません。
これから油まみれの機械と部品がひしめいた製造ラインへ視察に入られたのですが、自動車の華やかな部分だけではなく組み立ての過程に興味をもたれたところに、好奇心旺盛なダイアナさんらしさを垣間見ることができます。
これは貿易とか商売の目的ではなく、彼女個人の遊び心と日英友好の標であったと思います。
こんな自動車好きの国民性ですから国内のいたるところにサーッキットがあり、オフロードコースやダートトラックならどこの町にもあるくらいモータースポーツも浸透しています。戦時中の首相チャーチルさんの住居、ブレナム宮殿の敷地内でWRCラリーを開催したとか、アイルランドのマン島では島中の公道を封鎖してTTレースを開催しても何の問題もない国ですから、モトクロスのネイションズを開催するのに、国有か個人所有かわかりませんがお城の敷地を解放して、世界中の元トップライダーを集めてベテランズ版ネイションズも開催しています。
ジェフ・スタントンを追うジェームズ・ダブの迫力あるシーンが7:00あたりで見られます。モトクロス通の人なら他にもお気に入りライダーが見つかるでしょう。
ここのすごいところは、80年90年代のビンテージマシンが当時のようなワークス体制で参戦しているところで、デビッド・ソープやジェフ・スタントンなど英米のチャンピオンライダーの走りもすごいですが、マシンのコンディションも万全体制で車両みるだけでも楽しめそうです。確かこのコースは80年代にWGPで使った場所ですね。エリック・ゲボスが500ccで走っていたころビデオ鑑賞した覚えがあります。
'>動画の最後の部分にあるダニーMAGOOチャンドラーのメモリアルを見て改めて感動しました。
82年ドイツで250cc、83年スイスで500ccに乗って、全てのヒートで1位という、ネイションズ史上パーフェクトモトフィニッシュを決めた唯一人のライダーということで表彰されています。
チャンドラーさんは去年亡くなられましたが、私には忘れない記憶があります。狭山工場に配属されて最初に栃木のテストコースへ出張したときに宇都宮駅前に会社のバスが向かえに来るのですが、バス停で待っていたチャンドラーとジョニー・オーと一緒にバスに乗っていったことです。こんな世界で一流のライダーの隣に座っていくなどという、他愛無いできごとですが運命を感じます。