世間は大型連休中ですが、予定の業務が終了していない弊社はエンドレスで進行中です。
1ヶ月近くお預かりしているマシンのチャンバー製作に着手しているところですが、予想に反して手強いです。
TZR250の後期モデル、89年から3年しか生産されなかった前方吸気、後方排気という珍しいレイアウトのエンジン。
91年からV型となるため並列2気筒としては最後のモデルとなります。
しかし、このレイアウトはメリットとデメリットがあって総合的にはどうなのか、いろいろ乗り込んだ人しか分らないと思いますが、私個人的には面白いですね。
何で他の機種ではこういうレイアウトが採用されなかったのか興味深いところがあります。
クランクケース吸入ですから、キャブレターが後ろでも前でも吸気量は同じですが、通常レイアウトではキャブレター周りが熱くなってしまいますが、前方なら冷やされますから、フレッシュなエアーが吸入され充填効率が上げられるでしょう。排気管も後ろ向きの排気ポートからストレートに排気され抵抗も少ないでしょう。
チャンバーの寸法は依頼者からエクセルで作図したものをメール送信していただき、それに従って製作するだけです。ところが、真っ直ぐなパイプを作るわけではありませんので微妙なカーブを作ることで難航しています。
左右のエキパイを成型して口元フランジを固定してみると、これではパイプの位置が高すぎます。シートの下が近くて配線などが焼けてしまうことになりそうなので、やり直しです。ここまで2日かかっていますが、惜しげもなく廃却です。
即効で少し下向きに変えたカーブのエキパイ2本を作成して続行です。
このようなことを繰り返していますので予定どおり業務が進まないということになります。
納期は約束しても無駄ということです。
初めて作るものはどうしても時間がかかりますが完成したときの喜びも既成品とは違うものがあるのです。
うーむ、官能的です。
リヤストレートとは名ばかりで、クネクネ曲がってないと、サブフレームやサイドカバーと干渉してしまうので、必然的なカーブを描いています。
これからテールパイプとサイレンサー2本作らなければ完成しません。
あと20時間くらいでしょうか、もうひと頑張りします。
サイレンサー2本、リヤカウルに空いた穴から突き出しています。
4ストのセンター出しは、このモデルから発展したと言えます。センターはリヤタイヤが上がってきますので、チャンバーは両側に張り出した形状にしないと当たります。
サイドカバー付けると全部隠れて見えなくなりますのでストリップ状態だとこのようになります。
これでオーナーの設計されたチャンバースペックで製作が完了しました。
GW+3日の工程費やしましたので、この後も過密スケジュールで進行していきます。
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