グッドオールデイズの日にお預かりしたマシン1台。1959年型CB92です。
発売と同年の浅間火山レースのライトウエイトクラスで18歳の少年、北野元選手がワークスレーサーたちを抑えて優勝したことにより人気を博したモデル。
64年まで15000台ほど生産されたそうで、今でも世界中にこの希少なマシンを保存しようとする人たちが大勢おられます。
オーナーの沖さんもそんなエンスージアストの1人です。
お預かりした目的は、この車両に装着されたレース用マフラーのレストアのためです。
なかなか北海道から持ってこられるのは大変で、もてぎのイベント会場で待ち合わせて実現しましたので、納期も来年年明けくらいで良いそうです。
実は、北野選手が浅間で乗ったマシンを沖さんがレストア中で損傷の激しいマフラーの部分を私に託していただきました。
車体はこれと同型式なので治具代わりというわけですが、綺麗な車体で取り扱いは厳重注意ということになります。
マン島TTレースを走った谷口尚巳さんのサインがサイドカバーに書かれています。
やはり自分の青春時代のオートバイは忘れられない思い出があるのでしょう。
世の中がどのように変化しようとも、その時代を生きた証としてオートバイがなくてはならない存在なのだと感じます。
通称ドクロタンクとよばれるニーグリップが絞られたデザインのタンクはアルミ製。
大径ドラムブレーキのホイールハブはマグネシウム製。
実用車のようなボトムリンク式サスペンションやニーグリップのラバーなど当時の雰囲気満点のスタイルですが、ホンダとして最初のスポーツモデルなのであります。
割りと単純な形状と思われがちなメガホンマフラーですが、実は非常に難しいのです。
なにしろ全長70mmものテーパーですから手で巻くのは殆ど不可能でしょう。
エキパイも排気ポートが外向きなのにエンジン下部で車体と平行になる3次元曲げが必要となりますので、高度な手曲げテクニックがないと難しいでしょう。
ちょっと先の作業になりますが今から思案中というところです。
後日マフラー製作レポートすることにします。