今週はドリーム50のアルミタンク製作です。お預かりして5ヶ月くらい経過していますので、お客さんも待ちくたびれているかもしれません。
依頼内容はRC116のような形のタンクにしたい、ということです。
実車はホンダコレクションホールにあるのですが、2月末まで館内改装のため休館です。
仕方なく画像を見ながら作ってみることにします。
しかし、驚くほど細長いタンクです。
作り始めてみますと、RC116とドリーム50はフレームのレイアウトが全然違うことに気がつきました。
おそらく、ドリーム50はサーキット走行だけでなくツーリングに使っても支障ないようにシート幅が広くなっています。そのためシートレールも幅広ですから、こちらのフレームに合わせたタンク形状にしないと取りつけが困難なことがわかりました。
画像は底板の上にタンク上部と横板を仮止めして形状確認を行っています。
板金で成形したアルミ板を溶接で繋ぎます。
外側の溶接ビードは研磨して消しますので内側の溶接をしっかりとつけておきます。
明日外側の溶接作業にかかります。
かなり進行しているように見えますが、完成まであと3日くらいかかるでしょう。
普通のタンクはメインパイプの上まで被さっていますが、このタンクはシートレールの上まで伸びていますので、トンネルの形状が複雑になります。
2枚の隔壁はガソリンの移動を抑える目的とタンクの剛性を上げる目的があります。
RC116はワークスマシンですが、ドリーム50は市販レーサーCR110に似せて製造されたマシンですからフレームの構成が違うわけです。
ガソリン溜まりにコックを取り付けますが
本体への溶接は研磨後にします。
突起物が無い状態の方が取り扱いしやすいためです。
RS125から移植するタンクキャップも同様です。
溶接はひととおり終わり、接合部の研磨と表面の均しを大雑把に行いました。
タンク容量は7.0Lです。ノーマルの容量は知りませんが、DE耐とか走るようでしたら気になるところですね。
ノーマルはCDIユニットがシートレールの上にはみ出しているため取り付け位置を変更してタンク底板をフラットにしてあります。
前下がりだったノーマルタンクはガソリンが前方に残ってしまい最後まで使いきらないらしいですが、このタンクは水平になっていますのでガソリンを使いきれるでしょう。(給油量を制限される耐久レースでは有効です)
ニーグリップ部分はシートレールより狭くなっています。RC116はもっと狭いですが、フレームとのマッチングでこれくらいが狭さ限度でしょう。
本来は赤色塗装ですが、お客さんの要望でアルミ地肌で終了です。
お客さん独自のプロジェクトがある限り私の業務も続いていくでしょう。
仕上げにサンドペーパーで磨きました。ハンマー痕や溶接ビードなどで表面の細かな歪みを平滑に均していきます。
60番から磨きはじめて180番で止めておきました。鏡面に仕上げるよりこれくらいの粗さの方が塗装の密着はいいでしょう。さらに磨きこんでポリッシュすることも可能ですが、あとはオーナーに委ねます。
ホンダはHSV010でGT500に挑戦しているというのに、このプロジェクトは何とささやかなものか。
全部手仕上げですからね、ハイテク一切無し!
カーレースの方はホンダのお家芸だと思うのですが、GT500では苦戦を強いられているようです。
技術力だけでは負けないと思うのですがそれだけじゃないんですね。
F1よりこっちの方が道路で乗れるクルマに近いので好きですね。絶対乗れないわけですけど、少年時代のスーパーカーブームを彷彿させます。
もてぎ貸切で極秘テストですかー
金持ちのレーシングチームは違いますね。というより、サーキットも自社所有でした。
研究所もテストコースも部品メーカーもなんでも揃っているのに何故、勝てないのか!
今年こそはレーシングスピリッツ見せてもらいましょう。
しかし、この顔 強そうやな。