先日、オイルの営業マンに私の2ストスクーター用に分離給油オイルを頼んだときのはなし。
入社1年目の営業君「2CTならいつも持っています」といいますので、「最近は2スト用オイルはあまり売れないだろ?」と聞くと、営業君「農機具屋とかで時々頼まれます」とのこと。
「あーそれはロビンエンジンに使うやつだな」というと、営業君「ロビンってなんですか?」ロビンエンジンは芝刈り機とか汎用機に使っているエンジンで親会社は富士重工だと説明しました。その流れで富士重工は飛行機のエンジンも作っていて、BMWなんかも水平対向のエンジンが有名で自動車より先に航空機メーカーだった話をしました。
そんなロビンも知らない新人営業君に「じゃあ、ゼロ戦は知っているか?」ときくと「ああーゼロ戦は知ってます!」と答えるではありませんか。「ゼロ戦のエンジンメーカーは富士重工と同じ群馬県の中島飛行機で生産されたんだよ」という具合に、まるでジジイのように昔話を若者にしてしまう自分でした。
ジジイの話は続く、「終戦後7年間は日本で航空機の生産が禁止されたので、中島飛行機は解散して技術者たちは富士重工など自動車メーカーに移動して自動車の開発に従事したらしい」
または「ゼロ戦の設計者は三菱重工の堀越二郎氏で日本初の旅客機YS11も堀越氏の設計だった」
なんでロビンも知らない若者がゼロ戦という航空機の名前は知っているのか疑問に思って営業君に聞くと「中学校だと思うんですけど日本の近代史の授業で習いました。」そうかなのか、自分もゼロ戦なんか見たこともなかったのに飛行機名くらいは知っている、これは学校教育の賜物なのだと感じました。
ホンダのCBRとかCRFとか言ったって日本国民の何割が知っているでしょう。一部のオートバイ好きくらいしかいないと想像しますが、ゼロ戦といえばおそらく日本国民なら全員知っている飛行機名ではないでしょうか。
去年の暮れに所沢航空発祥記念館でゼロ戦の実機を観てから、これが栄発動機で実際に飛べる世界で最後の一機であるということを知ってから、ものすごく貴重なもので、これを飛行可能な機体に復元していただいたプレーンズ・オブ・フェイム(POF)に畏敬の念を抱くようになりました。
そして、ここに「エイ出版社」制作のDVD「零戦と栄発動機」があります。栄21型発動機の詳細な検証と、ラバウル島で捕獲され30年放置の後POFで1978年に復元された、日本軍部隊名61・120零戦52型の空撮を完全収録したものです。
これでいつでも栄発動機と零戦の姿を観ることができます。このDVDは我が家の家宝として保存したいと思います。
栄21型は完全オーバーホールされ米国連邦航空局の承認を受けるべく修復されたときのひとコマ。分解された部品は超音波洗浄とサンドブラストで新品同様に蘇ります。
当時の日本の冶金技術は低かったとされていますが、空冷の冷却フィンの造形が美しいと思います。
1130HPのエンジンが空冷で大丈夫なのですから、単車のエンジンなんか殆ど100HP以下なんですから空冷で充分と思うのですが、80年代以降の単車は水冷ばかりで魅力が無いですね。
これは単気筒でおよそ2000ccのエンジンなんです。
これはクランクケース、星型複列14気筒エンジンというレイアウトは実機をみないと全く理解できませんでしたが、このDVDを見てようやく分りました。
星型7気筒が二つクランクシャフトで連結されて動力を取り出す。
マスターコンロッドに6本のコンロッドが連結されて複雑な軌道で回転する7気筒が位相をずらして配置されていることが分ります。
他にもスーパーチャージャーや油圧機構に吸排気弁機構など分解写真で解説されていて、現代のエンジンの基礎となっていることがよく分る内容です。
操縦はPOFのチーフパイロット、ケビン・エルドリッチ、30年以上の対戦機操縦経験を持つ。
カメラプレーンはB25爆撃機で撮影はPOFの現CEO、スティーブ・ヒントンが勤めました。
世界最高の貴重な空撮には経験豊富な2人のパイロットが勤めています。
これを聞いただけでも、この撮影の意気込みが伺えるでしょう。
ライバル機P47サンダーボルトとのランデブー飛行。
この近さですよ。水平追尾から真横になって両機が急降下していきます。
もうこれ以上見せられません。
この貴重な映像が、たったの2000円で購入できます。えい出版社です、お急ぎください。
零戦21型戦闘機の生産は67号機からの型式変更以降、三菱航空機で741機、
中島飛行機で2821機、合計3562機でした。
そのうち飛行可能な機体は、唯一機しか残されていません。
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