2013年8月アーカイブ

ここに無限ヘッド(CR125R)があります。ヘッドガスケットが廃番になっていて、代替のガスケットを作る必要がでてきました。

CIMG2699.JPGホーリーさんとこでシリンダーに傷がついた無限をスリーブキットで再生したのですが銅板ガスケットが圧縮漏れでよくないと聞いて

お節介に「水冷ヘッドにはバネ鋼のガスケットが良いでしょう」と提案してしまった責任を取るためにメタルガスケットを作る役を請け負うことになりました。

昔、ボアアップで純正のメタルガスケットのボアを拡大したことはありましたが、材料から新造した経験はありません。

これは自己啓発として就業後に少しずつ進めますので作業日誌は後日アップいたします。

87年型CR125の純正ガスケットも見本としてお借りしていますが、材質はアスベストです。アスベストは耐熱性が高く、弾力もあるので高温での気密性に富んでいると思われます。

ヘッドガスケットに必要な性能は高温でもバネのような弾性をもっていることです。

シリンダーヘッドはM8のスタッドボルトで締め付けられますが、この締め付け荷重はどれくらいのものかといいますと

エンジン関係に使用されるボルトは100kg級の強力ボルトです。材質はSCM400(旧435)で、めっき可能な最高強度のボルトになります。めっき後のベーキング(水素脆性除去処理)が必須です。

足回りに使われるボルトは120kg級ですが、高負荷で亀裂を防止するため、めっき処理は不可で通常は耐食性にすぐれたダクロコートを施します。

100kg級の意味はmm2あたりの引張り強度が100kgということで、強度区分で10Tと表記されます。80kg級は8T、以下7T、6Tという具合に材質と熱処理の違いで強度を設定しています。

ではヘッドのスタッドボルトはM8ですから有効断面積(ねじの呼び径ではなく、ねじ底の断面積)は36.6mm2で引張り強度3400kgですがこれは垂直に引っ張ったときの破断荷重なので、ねじの締め付けでは耐力2894kgで考えます。

耐力というのはボルトを締め付けたときの軸力と伸び(またはトルク)線図で直線で表す領域(弾性域)から0.2%軸力が下がった点(降伏点)を耐力と定めています。

実際の締め付けでは降伏点を越えるとボルトが永久伸びを起こしてしまいますので、降伏点直前がボルトの限界になります。ボルトの規定トルクは、降伏点に達しない上限と緩みが発生しない下限値が指定されています。何故規定トルクに幅があるかというと、締め付け座面やネジの状態でμ(摩擦係数)が違うために軸力がばらつくためです。締め付け作業はトルクレンチを用いたとしても締め方によって軸力が変わります。レンチを締めるスピードや回数で、同じ目盛りでも軸力が変動します。

ネジ山や座面が滑っている状態を動摩擦、止まった状態から再度締めるときは静摩擦と呼び、静摩擦の方がボルトを回転させるのに大きなトルクが必要になります。締めすぎたボルトを緩めるときに大きなトルクが必要なのは、このためです。

話を元に戻します。スタッドボルト1本あたり2800kgの締め付け力とすると6本で16.8トンの荷重がヘッド面に掛かっていることになります。この荷重に耐えられる硬さのガスケットが必要と考え、バネ材を仕入れましたが、純正部品の材料は一般の鋼材屋で扱ってないことから、それに近い性質のステンレスを選定しました。

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これからガスケットの加工に入りますが、これくらいの形状ですと図面を書いてレーザー加工を頼んだ方が安上がりで加工精度もよいと思いますが、ここでは手持ちの加工機でどこまで出来るか試してみたいと思います。

使用する道具は板金ハサミ、ボール盤、旋盤くらいです。

最初はスタッド穴基準とするため穴位置を割り出してマスター板を作って下穴を空けていきます。

 

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ステンレス板にスタッド穴を空けておきます。

スタッド穴基準でセンターと外周を旋盤加工するための加工治具はこのとおりです。

ステンレス板の外形は板金ハサミで荒く切っておきます。これら6枚を重ねてフランジにボルト締めして加工を行います。

フランジで挟むことによって薄板の剛性があがってバリの少ない切削面に仕上がります。

 

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旋盤で外径φ101、内径φ55に加工しました。

思ったとおりバネ材は硬いです。

超硬チップで切削しますが刃物の消耗が早いです。

下穴はハイス(高速度鋼)のドリルを使うので、重ねて穴空け加工は困難です。

 

 

 

 

CIMG2704.JPG右がノーマルのヘッドガスケットでスタッド穴が5個です。

ウォーターラインを同等にするための見本です。

排気側の長穴を空けるのにフライス加工だと材料が硬いのでエンドミルが割れて全部ダメになることを恐れ、地道にドリルで下穴を開けました。

穴が繋がったところで、切り残した部分はヤスリで手仕上げすることにします。

アルミホイールやメッキシリンダーなどバリが出る製品は量産でも手仕上げでバリ取りするものですから、手仕上げは立派な加工工程なのです。敢えてハイテクを使わないでハンドワークで処理することが我社の物作りの原則です。

 

CIMG2706.JPG加工終了です。6枚セット取れました。

加工治具は使い捨てになります。

量産のメタルガスケットはウェーブ加工されており、穴の周囲を囲むように凸の部分が当たって密着するようになっているのでバネ材が必要なのでした。

しかし、これは平面で密着させる構造なので、シリンダーヘッドの平坦度とヘッドナットの締め付け力が成功のKEYであると考えられます。 

 

 

9月一杯まで非常に立て込んでいる状況ですが、電話1本でマフラー1本作ることになりました。

9月1日にJNCCが月山で開催されるのでエントリーしたというので遅くとも29日迄に完成させなくてはなりません。

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道なき道を走るエンデューロなので上手いライダーでも転倒のリスクは付きまといます。

レーサーのマフラーは軽量化も考えてチタンパイプを使ったりしますが、今回はステンレスです。

アルミの筒は同じですが、ミドルパイプの強度がステンレスパイプの方が上なので転倒による影響をなるべく抑える目的であります。

重量はチタン製と比較して500gくらい増えますが走行性能には影響ないでしょう。

 

依頼者は元ワークスライダーの大塚忠和選手ですが、私とはノービスから国際B級まで走った年代がカブっていますので、同年代のトップライダーからの呪縛にかかっていると思われます。別の年代のトップライダーですと観客としてしか見ていないので、特に意識はしていません。

それから、大塚選手はオートマチックのRC250Mを走らせて鈴鹿サーキットで宗一郎さんの前で優勝した人ですから他のライダーとは違う意味合いを持っています。優勝直後に管制塔に呼ばれて宗一郎さんと弁当食べたライダーは彼1人だけです。私ごときが彼の頼みを断れるわけありません。

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製作は間に合ったのですが、グラスウールがまだ入庫しません。ギリギリの日程なのでセッティングする時間もないでしょう。

現在違うマフラーが付いてますが、音量検査が難しいので新品頼まれたのでした。

ウエポンで聞いたのですが彼のマシンは月山終わったら売却するらしいので、突貫で作ったマフラーも一回きりで終了かもしれません。んー残念

 

大塚選手に電話したら、月山は都合で出られないそうで、次の糸魚川から出場ということでした。私、ビビリまくりで損してますね。マシンは今売っても、シーズンオフでも金額は変わらないということで、今シーズン一杯使っていただけそうです。

ある人類学者が、スポーツの起源を説明していました。古代ローマ時代以前はスポーツは存在しなかったですが、労働をしなくてよい貴族階級の人が「疲れてみたい」という欲求を満たすために運動を始めたのが起源といいます。労働者は一日中働いて疲れているので、運動する余裕はなかったわけですが近代は労働者も余裕ができて余暇をどのように過ごすか考えて、スポーツでもやってみようということになったのでしょう。

ではモータースポーツのように、危険なことを何故好むようになったか、車が2台出来たときからどちらが優秀な車であるか自然に競争が始まったと聞きます。私の憶測ですが、人間は大昔から戦うことによって領土を拡大したり、家族を略奪から守ってきた歴史があって、身を守るために戦う本能がDNAに刷り込まれているだろうと思うのです。好戦的な人は戦い(=危険)を快感と捉えるようで、自ら進んでレースなどに参加することになります。その中には人間の3大欲である征服欲(食、性、征服)を満たす目的もあるでしょう。

そんな人間の戦闘行動は現代でも世界のどこかで行われていますが、私たちの身近にも戦闘の歴史が存在した場所があることに畏怖の念を抱きます。

油壷.jpg

短い夏休みを取って海へいきました。TVでテリー伊藤さんが16年落ちのクルーザーを購入して釣りや海岸でBBQなどしているのを観たのですが、その海岸は毎年行っている長浜海岸だったので、びっくりしました。

埼玉の自宅を朝6時ころ出発し、R16を横浜方面へ走り、横浜横須賀道路、三浦縦貫と進んで長浜へ8時ころ着きます。

水が綺麗で波も穏やかなのでシュノーケル付けて海洋生物を見ながら泳ぎます。夏はこれが楽しみで、オートバイはさっぱり乗っていません。

そして近くの油壷ですが、その由来を最近知ってどうしても見に行きたい衝動に駆られて行ってきました。湾の奥は波が殆ど立たないのでヨットハーバーになっています。

500年ほど前の殺戮の歴史はこの湾の北側突端に新井城を構える豪族、三浦道寸義同(どうすんよしあつ)と小田原の豪族、北条早雲との戦いの現場でした。難攻不落の新井城を攻めあぐねた北条軍は兵糧攻めに転じ、3年間も続いたそうです。これには三浦軍もたまらず、もはやこれまでと飛び出してきたのが道寸の息子、三浦荒次郎義意(あらじろうよしおき) 身の丈七尺五寸、2メートル27センチの大男で八十五人力。3メートル半もあるこん棒を振り回し、一度に5人から8人も吹き飛ばす威力です。頭を殴ると首が胴体にめり込んだそうです。しかし、最後は自分で首を掻き切って自害しました。残りの三浦側の兵士もお互いを切りあって湾の中に身を投げたそうです。その兵士たちの血油で海面が染まったことで油壷と呼ばれたそうです。

今は皆の遊び場になっている海岸もかつては人間の宿命である戦闘の場所であったことを知ってから見にいくと感慨深いものがあります。

2年半前、あの異常事態で私たちは何を学んだか?幸いこの地域は地震による直接被害はありませんでしたが、原発停止による電力不足の状態を経験しました。大規模停電を恐れるあまり、計画停電で急場をしのいだわけですが、それでも我々の生活がいかに電力に依存したものであるか知らしめられるに充分なものでした。

計画停電ですから時間は知らされているとはいうものの、いきなりガシャン!と全部の電気製品が止まるのです。照明は勿論、暖房、冷蔵庫、給湯器、電話・・・仕事も全く出来ません収入が絶たれます。外へ出ると田舎へ来たように静かです。全ての工場、商業施設が閉鎖して、コンビニ、ガソリンスタンド、銀行も閉鎖です。ガソリンや水はポンプが動かなければ出てきません。現金やカードの決済も不能です。お金が役にたたない世界であります。パソコンやTV、ラジオも聞こえませんから情報もえられません。

短期間ではありますが電源が失われた世界を目の当たりにして、まるで現代人は水槽で飼われている金魚のように電気に依存して生きていることが分りました。

時間が経つと人は忘れてしまいますが、事故の影響は継続していることを報道を通して知らされますが、この事故収拾に関る費用は私たちが納めた電気料金以外に無いことを思いますと、「原発は関係ないんだ」とか「収拾に当たるのは東電や政府だ」とか言ってられない状況です。特に東電関内の人全てあそこからの電力で仕事をして生活してきたわけですから、事態の成り行きは注目していかなければならないと思います。

さて、汚染水漏れですが、原子炉建屋も吹き飛び、圧力容器も溶け落ちて露天にむき出しの核燃料が地中に潜りこんでいることは予想がつきますが、地下水や雨水が容赦なく核燃料を洗う状態が続いているわけです。なんとか海への流出を防ごうという努力が続いています。何故海への流出がまずいのかは誰でもわかりますよね。海産物への影響は勿論ですが、海流に乗っておそらくアメリカ西海岸に放射線物質が流れ着くのが予想されるからです。既に諸外国は注目しているわけですから、被災地域だけの問題ではなくなってきます。

東電は発電や送電のプロでありますが、異常事態に対応するプロではないので、対策が後手になりがちで、長期間続くはずの対応策も急場しのぎの状態です。汚染水の貯蔵タンクを映像で見ましたが円筒上のタンクはR曲げした鉄板の合わせ面をボルトで締め上げて気密を得る構造です。底板と天井も平板をボルトで繋ぎ合わせた大きな円盤です。

そこで疑問がありますが、鉄板のあわせ面が密着できるほど高精度な加工で、しかもあの大きさです。タンク1個で1000tの水を貯蔵できると報道されていましたが、漏れたタンクの水位が3m低下していたので300tが流出したという試算なので、タンクの寸法は内径5.6mで高さ10mということになります。水が漏れる構造のタンクを、あのような大きさで、地下水が流れ込む限り増設し続ける必要があるなど、いずれ行き詰まる対策だと思えてなりません。

しかも1000t以上のタンクは東電敷地内の土の上に置かれています。そこで地下水を汲み上げて核燃料による汚染水の増加を防ぐ対応もとられていますが、水脈が変わるとおそらく地面も沈んでくるでしょう。唯でさえ、基礎無しの地面に1000tタンク何百基ですから、底板が歪んで水漏れしているに違いありません。300トンも漏れて外観で見つからないのですから底板の合わせ面と考えるのが妥当です。

漏れる箇所は水を抜かなければ分るまいといって、汚染水を抜き始めていますが、分ったところで他のタンクも同じ構造だとどうなるのでしょう。常識的に考えると構造を再検討してやり直しということですが、財源は電気料金からということですから、とても「関係ないから」といって無視できない状況にあります。

どうなるのでしょう?これからの日本の電力事情は・・・

先月行われたMCFAJ第6戦 OFVの動画を見つけました。

trurmonkyさんありがとうございます。E450のスタートシーンは#90さんを撮っていると思われますが私の動きが分りやすかったので載せてみました。

'>80年代から同じ方法でやってきたスタート術です。背中が赤いジャージが私。

ポイントは0:23あたりを参照ください。バーが倒れる前にリヤタイヤから土埃が上がっていますね。

ここのスタートグリッドは後側にH鋼のタイヤ止めが設置されているので、後方から早めに出ることが出来なくなっています。そこで、バーが動き出してから倒れる直前を狙ってクラッチミートをします。バーが倒れてから反応しても出遅れてしまうのです。

私の場合はバーが地面に落ちる前にフロントを上げてクリアさせていきます。意図的にウイリー状態を作っているので体が遅れることはありません。後はトラクションに集中するためマシンの垂直を保ちながら体重移動してリヤ荷重に移行していきます。

旧型マシンでも真っ直ぐだけなら結構速いですね。問題はコーナーが遅いので1コーナーの処理が悪く2コーナーまでの直線で2台抜かれてしまいました。

9月のレースは走る予定なので、それまで課題を持って練習したいと思います。