今週は借り物のPCで更新しております。
我社から最も近いサス屋さんのBLITZ・SCHNELLでフォークスプリングの試作を依頼しました。
同社は(株)ショーワと取引されているので、非買品のパーツを頼める心強いショップです。
5月に動作確認のため試走した2WDのフロントフォークに入れ換えるためのスプリングです。
この2WDはフロントの駆動系だけで10kgの重量増となっており、ノーマルのフロントフォークでは性能不足は明らかでした。
操舵系の等速ジョイントのベアリングホルダーがボトムブリッジに衝突するため高速でギャップを通過するときに危険な状態になるため、なんとか改善したいと考えてフォークスプリングの強化を計画したものでした。
このマシンは月間ガルル1992年1月号に試乗インプレッションが掲載されていましたので覚えている読者も多いのでは。
開発者の吉田さんと打田編集長が仲がよく実現した取材だったと聞きましたが
雑誌では取材協力者の不利になることは書けないので、記事の中ではフロントサスやハンドリングの問題点は濁して書かれています。
只、これからの改善すべき課題とだけ書いてありましたが、譲り受けた私が改善の続きを行うことになろうとは、当時からすれば夢にも思わないことだったでしょう。
2WDが実用化されない理由が試乗することで分かった気がします。先ずハード路面のオフロード走行には適しません。スタックする路面やグリップの悪い登坂においては1WDを凌ぐはずですが、普通のギャップ走行で、乗り手のテクニックが必要になってくる上、製造コストが増えるということで、メリットが少なかったことによると思います。それでも保存する上で少しでも走行性能を向上させたいというのが技術者魂ではないでしょうか。
下がノーマル(若干ハードスプリングかもしれないが履歴が不明)
上2本がBSさんからショーワ関係の試作屋さんに頼んでもらったハードスプリング。
当初は88年式のCR125のオプションで出ているハードスプリングに取り換えようと安易に考えましたらスプリングの外径がφ37でCRMのインナーパイプに入りませんでした。
CRMのスプリング径はφ35なのです。88CR125のハードスプリングはホンダの最後の在庫でした。ほしい人があれば安価でお譲りします。
従ってCRMに装着可能なφ35、L=530mmで最大限度のバネ定数ということで依頼しましたら、15%増しのバネ乗数で仕上がってきました。
スプリングのデータを参考までに記します。
ノーマル K0.487 線径φ4.82 外径φ35 ピッチ12 巻き数42 L530
ハードSPG K0.560 線径φ4.8 外径φ35 ピッチ14 巻き数36 L530
88CR125ハード K不明 線径φ4.7 外径φ37 ピッチ12 巻き数41 L514
CR125のバネ定数はパーツリストまたはSマニュアルに記載されています。
材料の熱処理状態が不明で縦弾性係数の数値から計算で求めることができませんので、バネ定数は、ばね試験機で圧縮して、荷重と変位のグラフから読み取る方法で計測します。
15%のバネ定数アップで10kgのバネ下重量に対応できるかどうかは次回(たぶん来年春)の動作確認のときにテストする予定でいます。
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