私らが子供のころはズボンの膝や上着の肘が擦り切れたら、継ぎ当てをして着ていました。着る物や食べる物が貴重で粗末にすると親から怒られたりしました。ですから使える物はなかなか捨てません。可能なかぎり直して使います。
競争原理主義であるはずのモトクロスをやるようになっても貧乏性のままで、チャンバーなどは転倒で簡単につぶれてしまうので、下手な板金修理で直して使い続けました。そんな苦労した経験から、安価に上手く直せればいいなと思って始めたのがチャンバー作りなので、スペシャルパーツとかチューニングとかの目的ではなく、高価な部品をあっさり交換するのでなく直して使うことで出費を抑えようという目的でした。
エクボくらいの凹みですが、これを直してほしいという依頼です。
「金は持っている」といいますが、これが直ったとしても価値があるとは思えませんので、どれほどの難易度か確かめるためにやってみます。
250のエキパイは以前、やりましたので治具がありましたが450のパイプには使えません。
450専用の治具を製作しました。
パイプの端面を密閉して窒素を加圧するための道具です。
エキパイに加工が必要です。
治具が引っかかるストッパーを溶接してあります。
これがないと圧力で治具が動いてガス漏れしてしまうためです。
窒素を10気圧かけてバーナーで赤熱します。
炙りすぎると酸化してチタンが脆くなってしまうので手早くやらねばなりません。
溶接ビードの真上なので、一般部より固かったですね。
凹みはこの程度修復できました。
焼け跡が残りますので色は美しくないですが、凹んでいるよりはいいでしょう。
こっちの方が重症です。
カーボンパイプは衝撃が加わると割れてしまいます。接着剤では再び剥がれてくるでしょう。
これは諦めてアルミで巻いて作るように頼まれましたが、忙しいので後回しにします。
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