安易に引き受けてしまって、またもや後悔の念に苛まれていますが、引き受けるに至った理由の一つに必要条件がなかったことが挙げられます。コストも制限されていませんし、サーキット走行目的なので音量や排ガスの規制もありません。作り手としては全く自由な要件なので、引き受けやすかったのです。取り掛かるまで日数も長かったので、やり始めてから考えればよかろうと思っておりました。
L型ツインのリヤバンクは後方排気でエキパイ長が極端に短いのです。
ノーマルはマフラーというより箱型チャンバーです。後方排気の容積をチャンバー内の隔壁で距離をかせいで確保していると思われます。
触媒はフロントバンクのエキパイの途中とリヤバンク用はチャンバー内に装着されているのですが、排気効率を上げるためかハニカムをぶち壊して筒抜けにしてありました。
どうやらこの車体のスポーツマフラーが販売されていないか、べらぼうに高額なものしか無いようです。
隔壁によるマフラーの構造はノウハウがないためオーソドックスにパイプの延長で対策しようと考えましたが、ノーマルのマフラーしか取り付けようのないリヤフレームとカウルの形状のため、このような取り回しを余儀なくされました。
これがノーマルのマフラーです。テールカウル下のスペースをいっぱいに使ったデザインです。
マウントはM8ボルト(中央)とM6(前側)2本の3箇所でぶらさがっている形です。
いわゆるマウントブラッケットなるものが無いので、新作マフラーの取り付けに苦労しているところです。
このマフラー単品で重量8.6kg
ライセンスプレートとテールランプをマフラー下に直接取り付ける大胆な構造で合わせて9.6kgになります。
サイレンサーは左右独立したものを連結し、
ジョイントのパイプ2種類と燈火類を取り付ける金具を作りました。
マフラー全体の重量は5.6kgでノーマルより3kgの軽量化になりました。
リヤタイヤエンドから出ないように取り付け位置を決めましたが450マフラー2台分の容積を確保するため、このような大きさになりました。
外側から取り付けボルトにアクセスできない構造なので、取り付け金具の製作に丸二日も費やしてしまいました。
上がってしまったリチウムイオンバッテリーも新品に交換しましたので、明日エンジン始動してみます。
翌日、メインスイッチを入れてセルボタンを押しても、全くセルモーターが回りません。
インジケーターや燈火類は全て正常に動作します。
お客さんにその旨を伝えたら、「持ってくる前からおかしかった」といいます。
「バッテリーあがりかと思っていたがセルモーターが焼きついているかもしれない」とも言われましたので、ここで排気音の確認はできないなと諦めかけていました。
ダメ元でセル始動数回、トライしてみました。
すると1回だけクランクが回転したので、もしかするとOKかもしれないと思い再度トライすると、2回転3回転」と段々回り始めました。5回目くらいにアフターバーンが起きたので確信して、もう1回トライしたら始動できました。
リチウムイオンバッテリーは活性化するのに少し時間が必要らしいです。しばらく電気を流しておくと能力が上がってくる性質です。それとコールドスタートでオイルが固かったことも影響していたと思います。
暖気1分くらいでアクセルあおってみますと、なんとレスポンスのよいエンジンか!ちょい開けで1万瞬時に回ります。音はトルク感ありそうな低音で、思ったほど爆音でないことからサイレンサーの容積が適切であったことが伺えます。ツインエンジンだけどマルチのような吹け上がりです。
延長したリヤバンクのエキパイのはみ出し具合です。カウルの横方向は収まっているのでライディングには影響ないでしょう。
こんなオートバイに比べたら、私の所有車なんてカブみたいなもんです。
スーパーバイクを乗りこなすライダーを尊敬します。私は、このシート片足しか付きません。腕も真っ直ぐ伸ばしてやっとグリップに届きます。
危険なので試乗はやめておきます。
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