2014年1月アーカイブ

長期滞留車集中業務、去年12月から第5弾になります。

今回はワンオフではなく10台ロットの生産になりますので、終了まで当分の間新規ご注文はお引き受けできません。

何故10台かと想像するに、35年前に生産されたCR250(機種コード430)がビンテージMXとしては世界中で最も保有台数が多いらしく、当然純正パーツは絶販で

チャンバーなどという薄板の板金部品は相当腐食して実用に耐えない状態のものが多いと推測します。そこで絶販のチャンバーが新品購入できるとなると、喜ぶビンテージマニアも少なからずおられるのではないかということで複製に挑みました。

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販売は全面的にホーリーさんになりますので、個人的に頼まれてもお作りすることはできません。

それはこの商品を企画し、原車提供していただいておりますので、その轍を踏まない方の依頼は430に限らず不可能であることを申しあげておきます。

パイプのレイアウトが一部出来上がってきました。

あと一日くらいで全体が見えてくると思います。

 

 

えー、上の状態は昨日昼ころで、次の画像は今日の午前中、歯医者へ行ってから昼前の状態です。

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パイプは一通り繋がりましたね。

サイドカバー付けて、構成部品の隙間等チェックして、マウントブラケットやスプリングフックを付ければ完成です。

 

ワンオフではないので複数作ったときの同一性を検証しなければなりませんが、このあと数個作ってみて比較してチェック項目を決めていきます。

 

 

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パイプの成形も基本的にハンドワークなので、均一なパイプを作るのは職人の手加減にかかっているところが、一般的な工業製品と違うところです。

従って外国に出回って模倣されようとしても、同じ努力をしなければ出来ないはずなので、作ることのしんどさに耐えられる人間でなければ無理でしょう。

 

 

 

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サイドカバー付けてみて焦りました。

隙間ギリギリなんです。

図ったわけではないですが運がいいだけですね。

ノーマルも同じような隙間だったのでパイプ作りの精度が間違っていなかったといえるでしょう。

5個くらい作って形状が安定していることを確認してから、取り付け治具を作成して車体なしで受注生産できる体制にする予定です。

長期滞留車の集中業務が続いております。去年11月から第4弾になります。

空冷エンジンのDT125は以前ノーマルベースのチャンバーを作りましたが、今回は79年型YZ125と同スペックで製作依頼を受けました。

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YZスペックでDTに取り付くように専用型作るのですが

当時のYZ125チャンバーは左出しに対してDTは右出しなので対照になっています。

最初は取り付くかどうかわからないので

同等のカーブで作ってみましたが、車体が小さいことと、フレーム中通しのレイアウトが取り回しを困難にしました。

 

 

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タンク下のクリアランスはこのとおり1センチくらいです。

この位置を下げるためにはエキパイのカーブを大幅変更するしかありません。

今回は走行性能のチェックが主目的だと思いますのでこのままいきます。

 

 

 

 

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フレーム中通しのテールパイプに苦しめられました。

サイレンサーはノーマルパイプがつく位置になっています。

カンチレバーのショックユニットが真ん中にありますので、ショックを避けるカーブが複雑になりました。

 

 

 

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全く実績のない組み合わせなので試乗してみます。

インプレッションは元国際田舎B級の私が勤めさせていただきます。

トレール車にレーサーのチャンバーつけただけではレーサーのエンジンにはならないだろうと思っていました。

それはノーマルの最高出力が8000rpmで発生に対してYZは11000rpmで発生すること、カタログ上の馬力は10馬力も差があることから、ポート形状やクランクが別物なのだろうと考えられたからです。

まず、3ヶ月も放置した割りにチョーク引いてキック一発で始動しました。軽く暖気してから走りだしますが、分離給油の混合比が濃いのか白煙を吐き出しながら走ります。一般道では5000rpmくらいで巡航できますので、全くパワー感がありません。6000rpm付近まではノーマルベースの方が力強く、走りやすかったです。

ところが7000rpmを超えた付近から豹変します。8000からレッドゾーンのタコメーターを11000まで一気に振り切りました。この加速でフロントも浮いてきます。相当スピードも出ますし、市街地では危ないでしょう。しかし交通の流れに乗った状態ではパワーバンドに入らず、つまらない特性なので走る場所を選ぶ必要があるでしょう。

ノーマルポートでこの変貌ぶりだとキャブレターもいじっていけばレーサー並みに走ると思いますが、乗りやすさとは別ですから、オーナーの判断に委ねることにします。

CIMG3255.JPGCB400SSマフラーの鍍金が仕上がってきました。

上手く研磨できています。

 

 

 

 

 

 

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エキパイ類もこのとおり

 

 

よーし、つけるぞー!

 

その前にノーマルマフラー装着して試乗しなければなりません。

元国際田舎B級の私が、試乗インプレッションいたします。

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CB400に動力性能を期待するなんてことはナンセンスです。明らかに旧車デザインのこれはCB360Tの雰囲気を現代風にアレンジしたはずなのです。

国内ロードスポーツのお客離れ、特に我々の世代は若い頃CBに乗っていたりするのはちょっと不良で勉強なんか嫌いな少年たちだった。

岩清水ヒロシみたいなガリ勉が乗っているわけがないのだ。

そして大学で勉強したエリートがデザイナーになって単車作ったって、我々世代の気持ちをつかむデザインや音がするものを作れるわけがないのだ。よって新型ロードスポーツに見向きもしないというわけだ。 CIMG3261.JPG(単なる懐古主義なだけなんですがね。スポーツ用のやつはなるべく新しいのにのるべきだと思います。)

根本的にCB360TはツインですがCB400はシングルなので乗り味が違うのは当たり前です。

シングルのデュアルエキゾーストですからエキパイは細くてよいわけですが、見た目ツインマフラーのようにしてあります。

ノーマルは3000rpm以下の低速トルクは弱いですが5、6000rpmのパワー感が良好で一般道で非常に乗りやすい特性でしょう。8000rpm以上回しても加速感は一定でパンチが効いていません。ゆっくりと流す程度に乗るのが一番心地よいでしょう。

そしてツインマフラーに交換して最初に気付くことは「音」です。ノーマルの原付みたいな大人しさに比べて明らかに存在を感じる太い音です。しかも爆音ではないので周りに存在をアピールできる調度よい感じです。走りだして低速から開けていきますが、太いマフラーにありがちな低速の落ち込みは感じません。むしろ抵抗が取れた軽い吹け上がりに変わっています。5000rpmからの加速はノーマルより若干速いかなと感じますが、大きな差はありません。同様に乗りやすいフラットなエンジン特性です。前述しましたがブン回して楽しむ必要のないクルマなので、軽くなったエンジンレスポンスと太い音で快適なドライブができると思います。

なんたってリヤビューから車種が特定できそうもないスタイルを楽しめることが最大の売りです。

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排気が抜けるようになるとキャブレターのオーダーも違ってきますが、これは走行中に違和感は特にありませんでした。

通常は抜けすぎると全開時や戻したときにアフターバーンが出ます。吸入空気が多くなってガソリンの割合が薄くなるためです。

これは走行中のアフターバーンは起こりませんが回転を上げてからアクセル全閉で少し出るくらいです。エアースクリューを若干閉めるか、スロージェットをワンランク上げる程度で改善するでしょう。

 

 

最近のもの忘れの激しさに自分が恐ろしくなります。50歳にしてこの状態では60代で完全にボケてしまうのではないかと思えます。

例えばこんなことがありました。ストーブに火をつけるライターをエアコンに向けてカチカチとスイッチ入れようとしたり、お昼にラーメン食べようと思って包丁でナルトを切って包丁とまな板を洗って、包丁を包丁立てにしまおうとしたらナルトが立っていたり。

または灯油を買いにいこうと思ってポリタンクをスクーターに積んで走りだしたのに、家のそばのGSを通り過ぎて次の交差点まで突っ走って気がついたり。

今、何をやろうとしているか、または1分前の行動が記憶に無かったり、かなり重症のもの忘れです。

そしてついに仕事上のもの忘れで大失敗を犯してしまいました。

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このサイレンサー、材料支給で組み立てを頼まれたのですが

完成したつもりで梱包して荷物発送した後で、中に入れ忘れたものに気がついてやり直しするために依頼主に電話して返送してもらったばかりです。

中身のパンチングが後ろに抜けてこないためのストッパーを付け忘れたので、このまま納品したら、お客さんとこで問題が発覚するのではないかと思いました。

 

 

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早速、溶接を剥離して分解する前に、パンチングを引き抜いておこうとしたのですが、意に反して抜けてきません。

差し込んであるだけなので、バーナーで炙ってアルミを膨らませておけば緩むだろうと思ったのですがビクともしません。

パイプを中に突っ込んで力任せにど突いていたら、アルミの方が負けてしまいました。

結局、改修しなくてもパンチングは抜けてこないということが分かりましたが、これは偶然の産物であり、自分の設計では抜け止めが必要なことに変わりはありません。

この凹んだアルミも修復して無駄にしたりはしません。余計な仕事が増えただけです。

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しっかり溶接されたものを再使用できるように分解することは至難の業です。

切断したパイプの部分は寸法が足らなくなりますので廃却して新規に製作です。

やり直しするということは同じもの2回作るより労力が必要です。

往復の運送代も無駄になっていますし、もの忘れの恐ろしさを今更痛感するのであります。

 

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同じ失敗を繰り返さないために、新たに巻いたパンチングにストッパーリングの取り付けを確認しました。

1個品物が増えていますが、追加で頼まれましたので工賃をいただかないで運送代の足しにしていただこうと思います。

あと少しで組み立て完了のところで夜10時を回ってしまいましたので、近所迷惑にならないように、続きは明日の朝ということにします。

 

 

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翌朝組み立て完了しました。

全損になる可能性もありましたが材料の予備はないので、悪戦苦闘して改修しました。

アルミは柔らかいので溶接を剥がすときに歪んでしまうので、新品で作るより困難です。

私のもの忘れが原因で約束の納期も守れず、余計な運送の手配などしていただき、依頼者の方には大変申し訳なく思っています。

エンジンの組み立てなど、作業が決まっている場合は同じことを2回以上確認して締め忘れや未取り付けを防止できますが、初めてやる作業や方法が確立されていないことはミスが出る可能性が高いことを忘れないで今後の仕事に取り組んでいきたいと存じます。

突然ですが、エキスパンションチャンバーという部品はエンジン部品か車体部品のどちらのカテゴリーに入るでしょうか。

動力性能に密接に関わる同部品ですが正解は車体部品です。エンジンの開発はエンジン設計者が担当し、車体の設計は車体専門の担当者という具合に別々に行われます。また製造もエンジン工場ではエキスパンションチャンバーは作りません。車体関係の部品メーカーが製造します。

では、その手法はエンジンの開発はベンチテストで行われ、排気系の諸元はストレート図で表すまでです。そして車体屋によってストレート図に基づいてパイプを曲げて車体に取り付く形状をデザインすることになります。

今回、手巻き製法のチャンバーを製作しますが、これはプレス成形の型を決めるための前工程となるものです。しかし量産用のプレス型をつくる必要がありませんのでワンオフで終了ということになります。

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先日寸法計測したチャンバーのストレート図を基にテーパーパイプを作成して取り回しの検討を行います。

 

 

 

 

 

 

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パイプは溶接しないで傾きを調節しながらカーブを決めていきます。

取り付ける車体は極秘なのでお見せできません。

作業の進行状況をお知らせする目的だけです。

フレームやラジエターとの隙間がギリギリに設定されていますので、取り回し検討だけで一日掛かりです。

このパイプは全部開いて展開図となります。

これからが製作本番です。

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取り掛かるまで気にしていませんでしたが問題が幾つかあることに気付きました。

それは、見本となる写真と預かった車体の仕様が異なること、チャンバー取り付けに必要なラバーマウント、ボルト類、テンションスプリングなどは一切ついてないこと、サイレンサーの取り付け位置も決まっていないなど懸案が続々です。

なんとかパイプが繋ぎ終わったのですが残念なことにテールパイプの傾きがいまいちです。シートレールに対して前下がりに見えます。

低いラジエターの干渉を避けるためチャンバー位置を下げたことが原因です。テールパイプをあと1センチ上げたいと思います。ここで妥協してしまうことは許し難い結果になります。

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こだわりの1センチです。

テンションスプリング付いていますが、見本がここでジョイントになっていたため忠実に再現します。

テールパイプがシートレールと同じ傾きに変更できました。

ホンダ純正のラバーマウントは既に廃番で入手できません。ホーリーさんとこで別メーカーの在庫を見繕っていただき、430用テンションスプリングと一緒に送っていただいたことでスムーズに取り付けステーの加工ができました。

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サイレンサーは推定84モデルKA4だと思いますが、リヤフレームとのオフセットを決めるため専用カラーをラバーマウントに装着して固定できました。

実車はお見せできませんが、チャンバーはこのとおり完成いたしました。

実に半年遅れの仕事でした。

明日から1ヶ月ほど身柄拘束されますので電話は出られないと思います。急用には対応できませんが用事のある方はメール送信していただければ、終業後に返信いたします。

 

 

研磨に出す前にまだまだやることが残っていました。

いつも即興で計画性のない仕事の進め方です。知能が低いのでお許しください。

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一旦繋がったパイプをぶった切ってジョイントにしました。

フレーム下のマウントステーを取り付けたらフランジが抜けなくなってしまったためです。

放熱性と軽量化のためアルミフランジを採用していますが、鍍金の電流条件がアルミと鉄では違うため、アルミフランジは外して鍍金する前提ではいたのですが、アンダーマウントのことをすっかり忘れていたのでした。

よって設計変更です。

しかもテンションスプリングのフックを溶接したら、またフランジが通らない始末。悩んだあげく、鍍金後にフランジを入れてから前側フックを溶接することにしました。取り付け位置は車体内側で、ステンレス棒を使うので鍍金上の溶接焼けは少なく、外観は損ねないだろうとの判断です。

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アンダーマウントは、このように左右のエキパイを固定するようになっています。

マフラーの振られを考えると、ここを止めないわけにはいかなかったのです。

 

 

 

 

 

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ノーマルは右1本出しのため、左側にサイレンサーマウントはありません。

ステップブラケット下に自家製ラバーマウントを取り付けしました。

 

 

 

 

 

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ウーム、魅惑のリヤビュー。

今度こそ加工終了です。

後は研磨屋へ2往復してフックの溶接とグラスウール詰め込んだら排気音が聞けるという段取りです。

年末に途中だったCB400SSマフラーの続きです。

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2本出しなのでエンドキャップも2個です。

グラスウール入れるタイプなので消耗したらメンテナンスできるように脱着できるようにします。

抜け止めはM6ボルトを使います。

 

 

 

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マフラー装着して左右取り付けバランスを確認します。

オートバイは左右対称ではありません。

L側はサイドスタンドとチェーンがあり

R側はブレーキパネルなのでリヤフォークの形状も非対称です。

2本のマフラーをバランスよく配置するために、一歩引いた位置から眺めないと至近距離ではわからないのです。

 

 

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理想的な位置が決まりました。

残りはフレーム下のマウントブラケットを取り付ければ加工完了です。

そのあと研磨屋へ持ち込み、クローム鍍金仕上げになります。

研磨屋には2週間ほど預かりになると思いますので、それまでの間次の車両に取り掛かろうと思います。

年明けから毎日、ご注文の電話が掛かっていますが今のところ滞留車の特注部品に集中しておりますので、全て納期未定と返事させていただいております。

突発の修理も予定に影響が出るものは対応できません。

一台一台進めていますので遠くない将来に終わると思いますので、ご予約いただいたお客様は気長にお待ちください。