KR250のキャブレターオーバーフロー解析を行いました。
燃料コックPRI(プライマリー)の位置でガソリンがオーバーフローパイプから漏れてくる&エンジン始動不良の原因を追究します。
フラットバルブノキャブレターはロータリーディスクに向けて前下がりになっていてホリゾンタルとダウンドラフトの中間くらいのベンチュリー傾斜角です。
フロントとリヤは共通のようですが、ガソリンの吸入パイプ位置だけが違っています。
ガソリンホース取り回しの関係です。
フロートチャンバー開けてびっくり!
ガソリンが腐ってヘドロのようになっています。
これではエンジンが掛からないの納得です。
腐食生成物が悪さして、フロートバルブの動きを妨げていることが分かりました。
フロートの浮力でバルブが閉じきっていないのでガソリンがオーバーフローの原因でした。
キャブ内の汚れは超音波洗浄かウエットブラストで落としたいところですが、費用と時間がもったいないので洗浄液とブラシで汚れ除去したあとエアブローで処置しました。
フロートバルブのチェックはガソリンホースを繋いで、指でフロートを持ち上げてガソリンの落下具合で確認します。
汚れ除去後は確実にバルブが閉じていますのでオーバーフローは治りました。
もう一つ重大な問題があって、スロージェットが両方のキャブで塞がっていました。
腐食生成物が固まってしまって針金で突いても貫通しません。
これではエンジンも掛からないわけです。
スロージェットの穴が拡大しないサイズのドリルで穴を貫通させますが、動力を使うと中でドリルが折れてしまうと使い物にならないので、手で回しながら穴を空けていきます。
貫通すればOKです。
有害な汚れは除去したので再組み立てしますが、製作業務に支障がでるので、エンジン始動はこの次にしたいと思います。
取りあえず、オーバーフロー対策まで。
そしてもう一つのトラブルはDT125です。
YZスペックのチャンバーが出来たのでオーナーが自走で乗って帰ったのですが1時間もしないうちに電話が掛かってきて引取りにいってきました。
距離にして20kmほどでR16号を千葉まで帰る予定が川越の上江橋を渡ったあたりで焼きついたとの連絡です。
あそこは一般道ですが80km/h以上のスピードで流れていますので、エンジンの限界が来たのでしょう。
持ち帰ってヘッド開けてみたらピストンに穴が開いていました。
焼き付きではなくて溶けたのですね。
見事に穴が開いています。
排気側に傷がありますが、これは以前オイル切れで抱きつかせたときのものでしょう。
修理もしないで走り続けたということで、軽度な傷です。
燃焼室に破片が当たった痕が無く、溶けたアルミは全てクランク室へ落ちたと思われます。
クランクベアリングに悪影響を出さないためにはケース分解して切子の完全除去が必要と思われます。
シリンダーの傷も軽度なものです。
これも前回抱きつきによるものだと思います。
排気ポートの上側は殆ど削れていないことが運転できた要因と思います。
排気ポート下部の方が傷が深いので
ボーリングして0.25オーバーサイズピストンに組み替えると蘇りますが、レーサースペックのチャンバーが過剰な空気を吸い込んでいた可能性があるので、全開域の燃調を濃い目に変更するか、ノーマルスペックのチャンバーに戻すかしないと自走で千葉まで乗って帰ろうとすると同じ羽目に会うでしょう。
今週末はトラブル続きで長時間製作業務が停まってしまいました。旧車の預かりは今後は考えさせていただきます。
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