預かり車のKR250ですが発売から30年も経過している割には非常に綺麗に保存されていて、オーナーの愛着の度合いがわかります。
しかし、さすがに外観からは分からない老朽化も進んでいるようで
固着したフロートバルブや詰まっていたジェット類も掃除してエンジン再始動しましたが、不調は解消できていません。
そんな状況ですが駐車中に奇妙なものを発見しました。
4本のビニールホースは2個のキャブからエアブリードとオーバーフローパイプが1本ずつです。
その1本の先端に白い花咲がみられます。
ガソリンタンクかキャブに結露した水分がガソリンと反応して出てきていると思ったのですが、どうやら違っていて花咲が発生するメカニズムは次のとおりと考えました。
ガソリンが時々漏れてきています。負圧コックですからガソリンが降りてくるということは、ダイアフラムが硬化してシール性が落ちていることと、フロートバルブが完全に効いていないのでオーバーフローしてきている証拠になります。
そこでオーバーフローパイプの先端から漏れたガソリンから気化熱が発生します。
するとホース先端が冷却され、空気中の水蒸気が結露(液体に変わる)してガソリンと混ざり乳化したものが花咲の正体である。
雨降りのような湿気が多いときに走行するとスロットルバルブにアイシングが起こりますが、それと同じ原理ですね。
通常はホースが冷える前に常温に戻りますから、オーバーフローが一定時間継続していて、外気温が低く湿度が高いといった条件が揃ったときだけ発生するようです。
屋外ならホース先端に埃が付着している場合もあります。
オートバイは金属部品の集合体ですが、絶えず自然環境に曝されていて、状態が変化していくことを長い時間を経過することで知らされることがあります。
もちろんオートバイメーカーは30年以上も車両のコンディションを維持することは想定しておらず
常に毎年の新車を多く販売することが仕事でありますから、維持する人の経験と労力がなければ残っていかないのだろうなと思います。
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