91ブリティッシュGPモトクロス

来週の水曜日に父親の四十九日法要のため、片道850キロ走って帰らねばなりません。
自走で帰る理由は、車両の運搬と納品を兼ねているからであります。

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こんなパイプを作っていますが、1本あたり3日掛かりますので土日休まずにやってもあと2本ちょっとしかできませんが
車両の返却がマスト要件なので月曜夜が積み込み期限で進行しています。

全長長いので通常のチャンバーより溶接が50%多いです。







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ビンテージチャンバーなのでガス溶接で繋いでみました。

車体は返却するので、治具で合わせたものと同等性を確認しているところです。

口元からテールパイプまで長いので僅かに傾いても位置が違ってしまうので、位置決めに相当な時間を割いています。

このような大きな商品は複数梱包すると荷物サイズの関係で、宅配便では送ってもらえません。
梱包も厳重に行わないと、運送中にダメージを受けることになるので、長距離ですが自走で運んだ方が安心ということです。

91年はホンダオブUKを立ち上げるためにイギリスに長期滞在しておりました。
土日は会社が休みなのでレース観戦に出かけるのですが、JULY 7th 開催の世界GPモトクロス500ccクラスは、ある意味で忘れられない日となりました。
それはレース当日の夕方5時の飛行機でベルギー出張の予定だったからです。
移動は出張者全員にカンパニーカーを貸与されていて自分で運転するのですが
会場のホークストーン・パークまで滞在先のファーリンドン村から2時間の距離です。
滞在はホテルを出て駐在員の社宅に居候していて、そこからヒースロー空港までは1時間の距離です。
F1レーサーのアイルトン・セナがスピード違反でつかまってニュースになったM40(モーターウェイ)を走ります。
この移動時間から、飛行機に間に合うためにはファーリンドンの社宅を3時出発がリミットでした。
従って早朝、ホークストーン・パークへ向かって午前中、500ccの公式練習と前座の250ccクラスのレースを観戦しました。
250のレースは当時AMAチャンピオンだったJM・バイルも出走していましたが、地元のカッコ悪いオッサンが速くて勝てないくらいレベルの高いものでした。
イギリスのコースはここに限らず、自然の地形を利用したものが多く、ハイスピードでテクニカルなものです。
日本に見られる狭い土地を平らにしてジャンプを造成したようなコースではスピードのレベルが違うことが分かります。
しかも長距離移動しなくても多くのサーキットが存在するし、ドーバー海峡を渡ればすぐフランスという立地の良さですから優秀なレーサーが育つのも当たり前かもしれません。
結局500ccのレースはスタートだけ観て、急いで帰りましたので決勝レースは観てなかったのでした。


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ホークストーンの売店で買ったTシャツ

KX500に乗るUFOのジャージは英国人ライダー、ポール・マリーンがモデルです。

この年はジョルジュ・ジョベがCR500の市販車で500ccタイトルを取りました。
ジョベやJ・マルテンス、B・ライルズなど本物のGPライダーの走りを目の前で観れたことに感動です。





ヒースロー空港に着いたのは搭乗時間30分前でしたが、同じ会議に出席するパーチャスセクション(購買部)のリック・スミスと偶然合流できたのでチェックインもやってもらってスムーズに飛行機に乗れました。
ベルギー・ブリュッセル空港には栃木からチーフエンジニアと現地法人の日本人が合流してホテルへ向かいました。
翌翌日はドイツ・ハノーバーで別のメーカーで会議。ドイツとイギリスは時差が1時間ありますので帰りの便は夕方5時にハノーバー発、5時ヒースロー着という不思議な体験でした。飛行は1時間でしたが地球の自転に逆行しているからなのですね。
ハノーバーの売店でスミスさんに「友人のコバヤシにドイツのエロチカルマガジンをお土産に買ってやりたい」と告げて本屋で物色していると、スミスさんが「そんなのイギリスにも売っている」と言うので
「いやいやドイツでしか売ってないのを探しているんだ」という意味の英語で伝えました。
法律でイギリスでは、男女の絡みは掲載禁止になっていますがドイツではOKなので、それを探していたのです。
ヒースロー空港に着いたらロングタームの駐車場に停めた社用車のバラードに乗り込もうとしたら、スミスさんが「ワイフに乗せてきてもらったから乗せて帰って欲しい」と英語で言うので乗せてあげました。
威勢よく走りだして、ヒール・アンド・トーでアクセルを吹かしながらクラッチミートさせていると
スミスさんが興味深く私のアクセルワークを見て「ヒール・アンド・トー!」と発声してました。

後日、国内のメーカーに出張するとき、今度はスミスさんのドライビングで乗せてもらって驚きました。
まるでラリードライバーのようなドライビングテクニックでタイヤをスライドさせながらブラインドのワインディング道路をカッ飛ばしていくのでビビリました。
モータースポーツの国ですから一般ドライバーが既に速くて上手いのです。
日本のように信号と一時停止で交通を遮断している国とはスピードに対する経験が違うようです。








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