私は国産、外車問わずオートバイに詳しくないです。これまで販売された車種の大半に触れたこともなければ見たこともないです。
オンロードバイクはGS、ホーク、GTにKHの時代に育ちましたから80年代以降から本当にわかりません。
その詳しくないオートバイ遍歴の中でもエンジン形式には2ストロークと4ストローク、ロータリーがあって、その燃料供給方式がキャブレターであったことくらいは知っていました。
ところが、4輪車は30年前、2輪車は10年前から電子制御のFI(フューエルインジェクション)が燃料供給の主流となっていて、今では一部競技車両を除いて原付から大型バイクまで全ての車種がFI仕様になっています。
パワー出すだけならキャブレターでも充分な性能ですし、操縦性も何の問題もないように感じられました。
しかし、最新のFIモデルに乗ってしまうと、キャブレターが過去の物であったことに気がつきます。
これは近年の電子制御技術の賜物で小型で詳細な制御のできるコンピューターを車載できるようになったことが貢献しているわけです。
しかも燃料の噴射量の調整だけでなく点火時期の調整まで複雑な条件毎に制御してしまうのですからキャブレターの出番は無いということになります。
そんな万能な感じのFIですが、2ストロークエンジンに採用された例が少なく、一部のGPレーサーに搭載されたことがありますが主流にならなかった背景には制御技術の開発途上が原因であっただろうと推察できます。
そんなことで2ストロークのFI車作って、市販はされてないだろうと思い込んでいた私の浅はかさに、強烈なパンチをもらう出来事が起こりました。
製造年は97年ころということで、日本には数台輸入されただけで、もちろん走行した同機種を目撃したこともないのですから、すっかり知りませんでした。
L型ツインの500cc2ストロークエンジンですが、最大のユニークさは燃料供給に電子制御式FIを搭載していることです。
タンク下の大きなECUとデータロガーが装備されたこのエンジンは
掃気ポートに燃料噴射しますので
潤滑系はオイルポンプで強制潤滑です。
クランクシャフトは2軸ですからエンジン幅がシングルと変わりません。
2ストロークのメリットは同じ排気量の4ストロークより馬力が出ます。(燃焼回数が4ストの2倍ですから)
そして何より、カムシャフトやバルブといった動弁系の部品を製造する必要がありません。
ですからエンジンメーカーとしては4スト作るより商業的にコストメリットが大きいということになります。
しかも、2ストの宿敵排気ガスも、混合燃料でないですから4ストと同じということになります。
次にユニークな点は、本来リヤサスが通る部分にフロントバンクのチャンバーが居座っております。
そのためかリンク式のモノショックが横置きにオフセットされています。
このような排気管とリヤサスのレイアウトも他では見たことがありません。
フランスのELF
ニュージーランドのブリッテン
そしてイタリヤのビモータ
私の知る限りの3大コンストラクターです。
おそらく、これが動いたら国内唯一になると思いますが、私に託された使命は、紛失されたノーマルマフラーの代わりに車検対応のマフラーを製作することです。特に難しい要件は聞いてないですが、2度と作らない物を作る醍醐味を味わえる幸せなことではないでしょうか。(商業的には全く成り立ちませんけど)
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