内側カール

最先端の高度な加工技術は高価な工作機械とコンピューターによるデザインの賜物だと思いますが
人間に掛かる工作の難易度は現代のものより昔の方がはるかに高いものだったことは容易に想像できます。
それは現代のように豊富な原材料と高性能な加工機の一切が無い状態から物作りをおこなったことを考えればわかります。
お前は現代人なんだから、先端の作り方をしろ。と言われるなら、こう答えます。
先端の作り方は会社員時代に学んだ、これからは古いやり方を尊敬して学んでいきたい。
日本人だって世界の工業技術から取り残された鎖国時代に、たたら製鉄で鉄を精錬して鉄砲や大砲を作った。
明治時代終わりごろには戦艦も作れるくらい生産能力が向上した。
当時の原材料事情や加工設備がどうであったか、などと想像してみると何でも簡単に手に入る現代の物作りなんてものは、昔の職人から比べれば全然楽な世界なんだろうと思います。
自分なんかが職人の境地に辿り着くことは到底不可能なことだろうと思いますが、少しくらい真似事をしてみたいと思うのは贅沢なことなんでしょうか。

CIMG4091.JPG

今日はこの金型を使って工作します。

内容は1mm厚の鉄板を巻いて
円錐台のテーパーコーンを素材に
テーパーエンドを内側にカールします。










CIMG4090.JPG

1個目の型を使ってテーパーエンドを折り曲げます。














CIMG4092.JPG

左から素材

右へ順番に工程後の加工形状を表しています。

テーパーエンドを内側に折り曲げるのに3つの工程で加工していきます。

金型を製作する旋盤が必要ですが
使用する道具は、鉄ハンマー
木ハンマーと万力だけです。

これで100年くらい前の板金方法でしょうね。

CIMG4093.JPG

このようなテーパーエンドが加工できました。

9速ATミッション作れるメーカーさんから見たら三流か工業高校の工作実習レベルかと
笑われそうですが

提示された予算は極僅かです。
何千万円も投資した工作機械や金型を使うわけにはいかないので、安価に作る方法を考えたらこうなっただけです。

こんなことはノウハウでもありませんので
真似して作る人は、ご自由にどうぞ。

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