2015年6月アーカイブ

第26回日本ものづくりワールドを見るため東京ビッグサイトへ行ってきました。
本田技研早期退職グループのシオハウスさんからお誘いがあり
「怪我で仕事できなくてヒマでしょう。機械要素技術展でも見にいきなさーい」と促され
仕事を投げ打って最終日の今日に間に合いました。

今回は出展社数2230社ということなので8時間かけて見て回っても1社当たり12秒しかかけられません。
広い会場なので全社素通りして歩くだけで終わってしまう出展数です。当然全部見るのは不可能なので
分かりにくい分野を飛ばして興味あるとこだけ厳選してみて回りました。
製造技術の一部だけですが、見たことを箇条書きに説明します。

3D金属積層造形   以前3Dプリンターは実物の材質までは実現できないと書いたことがありましたが、2001年ころにレーザー照射熱で金属の粉体を溶融する技術に成功したらしく、
樹脂を積層して立体模型を作る3Dプリンターと同様に金属粉末を焼成して造形する装置が既に実用化されていました。
偶然にも高専の卒業研究は粉末冶金をやったので、鋳造鍛造と違った金属結合については理解していました。しかし、レーザー溶接とプリンターの技術を導入することでこれだけ自在な成形が可能になるとは夢にも思わなかったことです。

CIMG4305.JPG
実用化されている部品の一つ
航空機用の主翼に使うフラップのヒンジだそうです。
材質はチタン製
チタン2種でも64チタンでも出来るそうです。
航空や宇宙開発の方が強度と軽量が必要な分野なので、早く導入されたようです。

アルミだとADC1とADC3 ダイキャストと同様です。
ステンレスや炭素を含まないスチール
ブロンズ(青銅)
耐熱材のインコネルや超硬のコバルトクロム
18ゴールドやシルバーも実用化されているようです。
スチールにカーボンの含有が不可の理由は上手く溶け合わなくて欠陥になるそうです。
したがって炭素鋼の3D積層は今のところ不可なので鉄鋼の熱処理品はできないですが
チタンやコバルトクロムで代用すれば、中強度の部品であれば実用可能ということになります。
CIMG4304.JPG

ジェットのノズルみたいですが複雑な集合パイプです。
材質はチタンで肉厚は1mmくらいです。
均一ですごく軽いです。

造形品はCADデータで設計されたものを基にしており、モデリングや金型製作のような工程は一切ありません。






CIMG4306.JPG


チェーンのように連結された造形も3Dならではの作りではないでしょうか。

粉末の中に浮いた固形物を表現すれば接触していないリング状のものを組み合わせることが出来る例です。

もちろん連結には組み立ても溶接もありません。3D積層だけでできています。








レーザー溶接とマイクロプラズマ溶接

これは画像はありません。溶接痕が見えないくらい小さいので、例えば平板を巻いた円筒の繋ぎ目が見えないくらい滑らかだからです。
最小で0.1mm厚の金属の板を突き合わせ溶接できるというのです。
TIG溶接との違いは、溶接電流10A以下になると溶接できないのに対して1Aの電流でも安定したアークが得られることにあります。しかも熱影響深さが0.1mmという極薄で溶融できるので、焼けや熱歪みが発生しにくいことも上げられます。
微小部分の溶接のため接合部を拡大鏡で見ながらの作業でした。
うちでは0.8mm以下の薄板は難しいので溶接しないですが、レーザーかマイクロプラズマ溶接機があれば出来るかなと思い、値段を聞きましたら
レーザーで1千万円、マイクロプラズマの安いタイプで350万円ということでした。
高度な溶接技術にはお金がかかるということがわかりました。


マシニング切削

今回の機械要素のブースは3Dプリンター関連のものが大半を占めていて、機械切削の分野は影を潜めてしまった感じがしますが、とんでもありません。
超絶切削加工は健在です。
CIMG4320.JPG

チタンの塊から削りだされた王冠

5軸の加工機を駆使して作られたオブジェですがコストを度外視すればここまで出来る技術力を宣伝したものです。

機械加工ですからワーク(加工物)をチャッキングしなければ切削できません。
ツールの移動する軌跡も不思議ですが
最後の加工ではどのような方法でワークを固定したかが謎のワークでした。

球体のマシニング切削するときのチャッキング方法は教えてもらいましたよ。

CIMG4319.JPG

これはプラモデルですが、キットの組み立てではありません。
おそらくゴムタイヤも切削ですが
車体もガラスもマシニング切削による
モデルだそうです。
艶出しは研磨です。









CIMG4321.JPG

ステンレス加工で電顕の筒の部分だそうです。
マイナス10気圧の真空で気密を保つため筒内部にアクセスするツールは全て丈夫なフランジ付きです。










CIMG4323.JPG


電顕の中で差し込まれたパイプはTIG溶接されています。
穴から手を入れて溶接するそうです。
熟練だねー











現在骨折治療中につきバックオーダーの製作延期または新規受注の制限など行っておりますが
毎日のように業務依頼の問い合わせがあります。
段々できるようになると思いますので、しばらくの間ご容赦いただきとうございます。

さて、骨折していても出来ることは進めておかねばなりません。
タンクのモデル造形中です。

CIMG4289.JPG

クレイモデルからグラスファイバーで型取りしたものです。

これの内側が製品表面を表しています。











CIMG4294.JPG

樹脂型にセメントを流し込んでいます。

白く見えるのは鉄板の蓋をポリエステルパテで押さえてセメントが漏れないようにしてあります。

型底は水平ではありませんので
セメントが乾きかけたところで成形して
型底形状に倣うようにしています。






CIMG4297.JPG

樹脂型を離型したところです。

セメントは砂を混ぜることで分子の結合力が増し、割れ難くなります。
アルミ板叩くには充分な固さです。
火炎で炙っても大丈夫です。

実はアルミ板金をフリーハンドで行うことに限界を感じていました。
なかなか思った形状にはならないです。
あと、なるべく溶接の少ない板取りをしたいんですが型紙を作成するのも
叩き台があれば、やりやすいのです。
というか、モデルがなかったら無理です。

そんなわけで過去に板金で苦労したことを思い出しながら成形トライに臨んでいるので、完成する保証はないわけですけど、一つ一つですよ。
もちろん、自分でやらなくてもお金払えば出来るメーカーさんも知っていますが頼んでしまったら永遠に技術は身につきませんので、このようなことをやっております。
世の中には大学のデザイン学科のようなものもあって、高額な授業料払って練習する人も大勢いますが、ここには先生もなけれな授業料も必要ありません。全て自分の思いのままです。


ほしいものがあれば、効率のいい仕事をして得た収入で買えばいいではないか。このように考える人もいるでしょう。

私の考えはこうです。
例えば陶芸家という仕事があります。
陶芸家は作品を買いたいと思うでしょうか?
自分で土をこねて、絵付けして、焼いて、作品を作ることに意義を感じていると思うのです。
結果的に作品の出来栄えに応じて値段がついて生活の糧となるけど
その裏には数え切れない失敗作もあることでしょう。
私も最初はオートバイメーカーで働くことを目的としていましたが
配属された職場は物を作らない職種だったことが退職の動機でした。
会社は組織ですから自分の希望どおりには物事が運べません。
ですから今は資金力や経験不足で苦労は多いですが
自分で考えたとおりの仕事を遂行しています。


肩が痛いので柔らかいものでも触ってみることにします。
アルミタンク作りの技法ですが、従来はいきなりアルミ板を板金して溶接でつないでいましたが、
それでは目標とするデザインとは違ったものが出来てしまう。
または、形状に不満があっても組み立てた後では修正もできません。

そういう問題点を解消するためには、予めモデル成形して完成予想図を見ながら検討するのがよろしいでしょう。
そして納得できるモデルができたら型取りをして叩き台を作るという手法をとります。
最初から外注するのでしたら、工業モデルから亜鉛型を起こして、大型プレス機でアルミ板を成形できる企業もありますから、予算が許されるのであれば高品質なタンクが出来ると思います。

しかし、外注するということは自分の意思は入りません。
注文者と製造メーカーとの契約があるだけです。
私が目指すものは、そういう商業的な経済活動をしたいのではなく、
自分の意思を具現化することを、自己責任(自前の資金と労力)で行うことにあります。

CIMG4284.JPG

先日、セメント型から叩き出したアルミの底板を乗せて位置決めします。

この状態でハンドルを切って、三つ又とタンクの隙間を確認するためです。

後ろ側はシートを乗せて、タンクとのつながりを検討しながらモデル成形します。







CIMG4285.JPG

先ずは発砲スチロールで大雑把な形状を作っておきます。

インダストリアル・クレイ(粘土)の量を節約するためですが、

意外と粘土の量が必要で、発砲スチロールは、なるべく完成形に近い形状になっていないとモデリングに時間が掛かることが分かりました。

なにせ素人なのに、何の勉強もせずに、いきなり実践というわけですから
わからないことが多いのは仕方がありません。

CIMG4286.JPG

案の定、粘土の量が分からず、成形する前に足らなくなって中断してしまいました。

明日、余分に粘土を仕入れておくので
入荷次第、モデリング続きを実施いたします。










CIMG4288.JPG

粘土を追加してコテで均しました。
大体こんなイメージです。

実はご依頼のデザインはワークスタンクなので見本がありません。
画像だけなので立体的な情報はありません。
しかも、装着する機種とワークスタンクはフレームが異なりますので
タンクの底板とアッパーハーフは形状が矛盾するものです。
なんとか、これを辻褄の合うようにするための造形が必要なのでした。


RC500M.jpg

見本のRC500Mですが
タンクのマウント位置が上のフレームと違いますので
250の底板と500のアッパーハーフを合体させる作業です。

クレイモデルから樹脂型を取って
セメントの叩き台を制作してから
アルミ板金という段取りを取る予定です。

力仕事なので作業は骨折の治り方次第で進行するでしょう。

謡曲「鉢の木」に出てくる台詞。中高年層しか知らないらしいです。
鎌倉時代に群馬の貧乏武士、佐野源左衛門常世が旅の僧に大事な鉢植えを焚き火にしてもてなした後、幕府から鎌倉へ召集され出迎えた将軍北条時頼が旅の僧だったというストーリー。
一大事のときは何をおいても鎌倉へ参じるという意味の言葉ですが
オレもちょっとやってみたかった。
朝出発したアクティーが入間市あたりでファンベルトが切れてレッカーで鶴ヶ島まで逆戻りというアクシデントから始まりましたが、サンバーに乗り換えて10時過ぎに再出発しました。
すると昼頃には江ノ島に着いているという早さです。
圏央道が茅ヶ崎まで開通していたおかげで、昔は半日掛りの移動だったのが今では1時間半です。
便利になったなー、と驚きながら江ノ島の駐車場に突っ込んで、藤沢駅から江ノ電に乗って移動です。

最初の目的はもちろん大仏です。今日は全部初めて見るものばかりですが、鎌倉の大仏を見ないで死ぬわけにいかぬ、ということで。

CIMG4263.JPG
私が冶金学の分野に接していなかったらこれほど興味を抱かなかったと思います。

それは、この仏像が青銅(ブロンズ)の鋳造を製法としてること。
1200年代ですから千年ほど前の鋳造技術がどれほど高度なものだったか。

特に大仏の胎内拝観が鋳造法案の推定を可能にしているので、長年謎に思っていた部分が解き明かされた気分になりました。

坐像高さ11.79m 土台修復時にジャッキアップして実測した重量が121トンということです。他に例をみない巨大鋳造品です。

釣鐘の鋳造は粘土の鋳型に青銅を鋳込む
重力鋳造ですが、大仏はそれとは違った技法を用いていると思います。
それは巨大さゆえ、一体の鋳型が作れないということ。
青銅の溶解の量にも限りがあるので、継ぎ足し継ぎ足し鋳造されていること。
推定30回くらいに分けて鋳造されたとするなら、一回に溶解された青銅は約4トン。
これだけの溶解をできる炉の構造はどうだったか。

銅の融点1083°ですが錫を添加することで800°程度まで下げられるということですが巨大な石釜に薪をガンガン炊いて溶解したと思います。
青銅だけで4トンにもなる溶湯を持ち上げるクレーンがあるわけじゃないので、湯口より高いところに溶解炉を置くために、鋳造毎に盛り土をしていたであろう。
高徳院敷地内の地質調査で地層に関係ない大量の土が発見されたことで証明されています。

では鋳型の構造はどうであったか。
鋳造を継ぎ足しするということは、完全に湯境いという欠陥になります。
冷え固まった金属に溶湯を鋳込んでも溶け合ったりしないわけです。
結合が弱ければ鋳型を壊した瞬間に像が崩れることでしょう。
鎌倉時代の鋳物師は、そういうことも分かっていて分割された型の繋ぎにカギ型のアンダーカット形状をこしらえて、機械的結合にしたようです。その様子は胎内拝観で観察することができます。

CIMG4269.JPG
内部はこのように型が分割されて構成された跡が見てとれます。

着物のひだが内側にも造形されていることから、鋳物の厚みはそれほどではないと推測できます。
私の想像では3cm前後、屋根瓦くらいのものだと思います。
そして、内側と外側の鋳型の材質は木材だったのではないでしょうか。
これくらいの厚みの800°くらいの青銅を鋳込んだとしても木材表面が焦げているうちに凝固するだろうと思います。
また鋳型が動かないように粘土などでバックアップしていれば冷却効率も上がるはずです。

木材の鋳型の理由は、あくまで自論ですが鋳鉄ほど融点が高くないので砂型でなくても燃えないということ、彫刻の仕上がりがそのまま鋳肌になっていること。
そして、原型があったとしても砂型鋳造のような型抜きが不可能なこと。
とんでもない勘違いしているかもしれないので、知っている人がいらっしゃれば、お教えください。

CIMG4275.JPG

第2目的地 鶴岡八幡宮

江ノ電に乗って鎌倉駅降りたら直ぐに参道が始まります。

征夷大将軍 源頼朝が1208年に神宮寺創建の神社です。

三大幕府最初の場所ですから日本人として
ここへ来ないで死ぬわけにはなりませぬ。

なんか最近神社仏閣めぐりが趣味になりつつあります。
単純に楽しいです。


CIMG4272.JPG

美しいねー
そして昔、日本の中心だった場所。
災害や戦争にあっても豪華絢爛な雄姿を
残してくれたことに感謝します。

歴史を知ることと美術的な観点を持つという両方の意味で国宝、史跡めぐりは人生に深みを与えてくれる気がします。







CIMG4271.JPG

お、CB350先輩! 72年くらいのですか?

古都鎌倉に完全に溶け込んでいます。
海が近いので錆には厳しいですが
実働のようなので貴重な存在に見えました。

(71年型 CL350K が正しかった
特徴はスクランブラータイプのハンドルと
左2本出しアップマフラーです。)









CIMG4259.JPGそして初江ノ島。

平日にも関わらず人多いです。
これでは土日ここに来るのは大変なことでしょう。
駐車場空いてないし、道路は渋滞、電車は満員ですから。

天気予報のレポートとかによく使われるロケーションですが、江戸時代の浮世絵にも描かれている超有名スポットなんで
愛媛の山育ちのオレからすると羨望の眼差しです。



CIMG4278.JPG

知らなかった江ノ島の事実。

神社やお店もたくさんあって驚きですが
民家も結構建っているのが意外でした。

しかし周囲はむき出しの自然。
この絶景の場所に住みたいという気持ちもよく分かります。

田舎のすばらしいところは人間が開発していないところにあるんです。
でも、ここは田舎じゃない不思議な場所です。


CIMG4280.JPG

馬鹿は高いとこが好き、オレも例外じゃない。

展望灯台に上がってみました。
江ノ島が島で無くなる瞬間。

干潮のときに砂浜が現れて陸続きになります。
浮世絵でも砂浜を歩いて渡る庶民の様子が描かれています。

浜は海水浴で有名な片瀬海岸



CIMG4283.JPG

ヨットハーバーは東京オリンピックでヨット競技に使用された場所。

対岸はサーフィンのメッカ、稲村ヶ崎
逗子、鎌倉と一望できます。
先端は毎年行っている城ヶ崎なのかな。



ここは訳ありそうなアベックばっかりです。(殆ど手つないでる)
複雑な人間模様あるんですね。


日が暮れてからR134をサンバーで流しながら、横浜横須賀道路へ合流し、R16経由して帰りましたが、平日のためか道路空いていて3時間くらいで帰宅できました。  フゥー







右鎖骨骨折、手術後3週間ですがチタンプレートとネジ4本で結合された状態です。
生体的には全く繋がっておりませんので、右腕を大きく動かしたり重い物を持ったりできません。
まして鉄板を曲げたり、ハンマーで叩いたりする動作は全く無理です。
骨の再生状況に応じて、段階的に動かしていくと思いますが、現状で何ができるかを把握するため
無理の無い程度に手を動かしてみました。

CIMG4252.JPG
R25の改造計画です。
セパレートハンドル装着の影響で
メーターとフロントマスターがハンドル左転蛇で当たってしまうので
メーター取り付け位置を前に移設するため
カウルステーの製作に着手しました。

しかしレーサーのカウルステーのように単純ではありません。

フロントカウルのマウントはバックミラーのステーを兼ねており
デュアルヘッドライトの固定とメーターの固定も付いていますから複雑な形状です。

先ずは各ボルト穴位置と取り付け角度を決めるための治具製作を行いました。


CIMG4254.JPG
フレームマウント ボルト2本
バックミラーステー ネジ4箇所
メーターマウント ネジ3箇所
ヘッドライトマウント ネジ4箇所

合計13箇所のネジ位置を合わせた
3次元座標を決めて作りました。

車体取り付け状態で目視確認が不可能な位置なので非常に難儀な作業でした。






CIMG4255.JPG

メーターのラバーマウントの状態です。

ノーマルカウルに納まって、ハンドル操作に影響しないメーターポジションは、ここしかありませんでした。

全て1mm単位しか隙間に余裕がありません。

セパハン装着の影響は最終的にこういう部分まで及んでしまいますので、安易にボルトオンすることは考えない方がいいでしょう。



CIMG4256.JPG


カウルステーを車体装着して確認です。

ブレーキマスターとメーターの干渉もギリギリクリアできました。

装着すると相手部品との位置関係が目視確認できないことが、お分かりいただけると思います。

これは幾何学的なセンスがないと不可能な製作物だといえるでしょう。

売り物ではありませんので、右肩骨折状態で出来るトレーニングの一環でした。

現在は上腕が肩より上に上がりませんので、右手で顔洗えないくらいです。
右手でクルマのハンドルは回せませんので、フライスのハンドル操作も無理ですね。
力の必要がない物を中心にゆっくりやっていきます。