佐田岬半島

愛媛県人として20年間生活しましたが、行ったことない場所の方が多い自分ですが
今更のように故郷の景色を見ておこうと思い立ち、今年中に入っておこうと決心したことが実現しました。
それは、伊方原発3号機の再稼働が決定し、先日の熊本、大分大地震を受けて同じ中央構造線断層帯に近い伊方原発がM8.0クラスの地震に見舞われたとき、あの故郷に近い絶景を見ておけば良かったと後悔しなくて済むようにしておきたかったのです。
愛媛県知事が「福島第一原発事故のようにはなりません」と言って四国電力に原発の再稼働を許可した理由を述べておられましたが、全然理解できてない説明であったと言わざるをえません。
そもそも福島第一が炉心溶融に至った過程は解明できていないはずです。
冷却水を回すポンプの非常用電源が津波により浸水し、電源喪失したことは間違いないですが
それ以前に高濃度汚染水が循環する配管が無傷であった確認はできていません。
一部でも配管に破損があれば電源喪失していなくても冷却水は漏れた(即ち冷却不能)可能性があります。
それに東電管内は原子炉設備の事業者はGE(ゼネラルエレクトリック)の沸騰水型軽水炉。
四国電力は三菱重工、3号機にいたってはWHウエスティングハウスエレクトリック)の共同事業の加圧水型軽水炉ということで冷却水配管の構造も別だというのに、耐震対策をした、津波は8m以下の想定だから大丈夫、強固な岩盤の上に建設したので地震から受ける揺れは緩やか等々、自然の脅威を楽観視した説明しかされていません。これで安全が証明できたわけではありません。
しかも伊方町住民の避難ルートは地震や悪天候を受けてない平常時の道路事情や三崎港からの海上交通手段で想定されていまして、一本しかない国道は急斜面に造成されておりがけ崩れや崩落が無いとは言い難い。
津波を被った港湾にまともに船舶が使えるとは考えられない。
住民の大半は高齢者で自力での移動が困難。
こんな状況で原発が被災したことを考えると、この場所で原発を再稼働できる心理が理解できません。

そうは言っても今の私は埼玉県人、伊方町に行ったことも見たこともありません。
なるべく早いうちにと思っていましたら、先週ちょうど実家で法事がありましたので、この機会を逃したら
今度いつになるかわからないので強行スケジュールで行ってきました。

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高速道路を走ったのでは田舎を見たことになりませんので全部国道を走っていきます。

小松町の実家からR11を松山方面へ
桜三里のワインディングは学生時代と変わらぬ景色。
愛媛県庁前で止まって撮影です。
松山城の城山と路面電車と県庁が同時に写るスポットは日本でも稀でしょう。

実はこの時から雨が強くなってきて、合羽無しでは無理な感じになってきました。
ここまできたから引き返すつもりは毛頭なかったですが、過酷なツーリングの始まりです。

CIMG5812.JPG

最短ルートは松山市から伊予市に向かい海沿いのR378を大洲市まで走ります。
伊予灘を右手に見ながら中速のワインディングが続きますが雨は本降りとなりアスファルト路面は川のように水が流れ、フルフェイスのシールドも水滴で視界不良という悪条件ですが
自分の腕を信じてスリップやオーバーランで対向車と正面衝突だけはならないように慎重に走行してきました。
全然余裕ない感じで道中の記事はありません。

佐田岬半島付け根からR197問題のルートへ入っていきます。

まもなく伊方原子力発電所の看板が見えたので右折して半島の北側斜面へ降りていきますと原発建屋が見えました。
ここは一般者立ち入り禁止の斜面を降りて山側から撮影したのでパンフレットにはない角度です。
不気味な静けさと山側から人が侵入することは困難な場所です。
今は立派な道路が建設されていますが建設資材は海からの搬入だったでしょう。
これだけ大規模な施設ですから柑橘類の栽培や漁業しかできない過疎の集落でも雇用が生み出せたことが想像できます。

CIMG5814.JPG途中、半島の尾根には風車が連なって設置されているのが見えてきて
霧に見え隠れする巨大風車が幻想的でもあります。

原発誘致する代わりに自然エネルギーも積極的に推進する姿勢も見せているようですが
この日は風車全然回っていませんでした。
おそらく発電量ゼロでしょう。
見かけは大がかりですが効果の方はいかがなんでしょうか。




CIMG5815.JPG

公園に設置された支柱が確認できます。
根元の直径は3mくらいでしょうか。
そして高さ3mくらいの鋼鉄のパイプを25個溶接で積み上げてある支柱です。
なので推定高さ75m
羽一枚の長さも支柱の半分弱ですから25mくらいと推察できます。

地下の構造は見えませんが、これだけ大きな物が安全に立っているためには地上と同じくらいの重量物が埋設されていると思いますが地表部分の連結はM30くらいのボルトナットが200本くらいでフランジを締め付けてありました。
発電機のメーカーは原発と同じ三菱重工です。

CIMG5818.JPG

R197通称「佐田岬メロディー道路」の途中で半島の横幅が1kmくらいになる場所があって北側に瀬戸内海(伊予灘)
南側に宇和海が同時に見えます。

晴天なら青い空に青い海が見えるわけですが、この日は霧にけむる半島です。
両側が急勾配の斜面で建物は全く見当たりません。






CIMG5817.JPG

崖下の海面をみると、綺麗な海水で
岩礁や白い砂が確認できます。
潮の流れは急ですがよい漁場らしく
漁船が大勢で操業していました。












CIMG5825.JPG
さて、国立公園となっている佐田岬灯台の駐車場に辿りつきました。
ここからは徒歩で完璧に整備された遊歩道を1.8km徒歩で岬の先端へ向かいます。

遊歩道の途中で海岸に降りられるようになっていて、この絶景が現れます。
しばし見惚れてしまいました。

左の岬の向こう側に灯台が見えるはずです。




CIMG5828.JPG

やっと白亜の灯台が見えました。
神々しい眺めです。

大正7年(1918年)から投光開始されているそうです。

昔の人はこんな足場の悪いところでも立派な建造物を作る馬力があったのだと思うと感動しますね。
CIMG5831.JPG







こんな雨の日にわざわざ佐田岬を目指す2輪ライダーは私だけでしょう。
だから晴天の青い海が写り込んだ画像しか見たことないので、雨の灯台の景色が逆にめずらしいでしょう。

晴れていれば豊予海峡の対岸に臼杵市や大分市が見えるらしいですが(14km)この日は霧で真っ白です。

ここは岬の山頂部で椿山という展望台から見た景色です。




CIMG5833.JPG
今日の相棒はヤマハR25です。
小松町の実家を出発して
ここまで4時間走りっぱなしです。
合羽を着ているとはいえ水が浸みてきて全身びしょ濡れになり
スリッピーな路面で体重移動を繰り返しながら、メシも食わずに走ってきたので疲れてきましたが、また同じ距離を走って帰らねばなりません。







CIMG5834.JPG
再び雨のツーリングで全く余裕なく道中の記事はありませんが

一つだけ見ておきたい場所がありました。
「元日本で最も海に近い駅」として知られる予讃線「下灘駅」です。

1990年代に海岸を埋め立ててR378を整備するまで日本で一番海に近い駅だったそうです。
晴れなら青い海の絶景だったはずですが、
やはりネズミ色の海でした。
この景色も逆にめずらしいですね。


伊予市から伊予大洲駅まで海側を走る予讃線の支線で伊予市から4駅目にあります。

このあと松山市からR11を弾丸で走って家に着いたら、850km埼玉へのナイトランが待っていますので体が休まらない週末でした。

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