CR93とRC143

私の生まれた年に生産発売されたヒストリックバイクがあります。
名神高速も開通してない1963年に鈴鹿サーキットを建設し、レース組織MFJを発足させ
同時に第一回日本GPロードレース選手権にエントリーするための市販レーサーまで生産したホンダ。

その記念すべき最初の市販レーサーCR93(125cc2気筒)であります。

CR93.jpg
CR93ロードレーサー
これと同じ車体の公道バージョンも発売され
総生産台数200台余りという希少モデルですが
同じ町内会のレストア場で全バラのCR93を見ました。
殆ど知らなかったですが
63年当時のエンジンがツインカム、シャフトドライブのギヤトレインと4バルブの2気筒であることに驚きました。
後世に同じスペックの125ccは生産されてないですからね。

そして運のいいことに、もう一台のCR93が組み上がったばかりで庭で押し掛けしてエンジン音を聞かせていただくこともできました。
過去にきいたことのないレーシングエンジンのサウンドにしびれました。
私の地元から近い香川県にはCR93が多数保存されているらしいですから不思議なものです。


市販レーサーCR93のベースとなったに違いないワークスマシン、RC143

おそらく世界でもトップクラスの予算を投じたレストア工場がホンダコレクションホールだと思いますが
そこで動態復元のための作業を収録した番組です。

展示車を見ても分からなかったエンジン内部の秘密が明かされます。
抜き取られたクランクシャフトから同爆(360°クランク)であること
2本のカムシャフトの回転方向を同一にするためのプライマリーギヤを含めて4枚のカムギヤが
ヘッドに繰み込まれていること。
通常バルブのシートリングをベリリウムカッパーで製作し、液体窒素で冷却収縮したものをはめるのが定番のヘッドチューンですが、これは燃焼室全体を一体型のベリリウムカッパーで製作して、アルミのシリンダーヘッドに繰み込んであるということ。

63年の図面は手書きの紙図面でありますから、再生する部品の生産を現代の加工機で作るための
データ化など、大会社の動態復元の手法が垣間見える、よい動画でした。

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