2020年2月アーカイブ

自分のレーサーは内製のマフラーで乗ってきたことは前回書きましたが、もう一つ狭山レーシング時代からの伝統があります。それはレーシングスタンドは自作して使うということです。
部室の隣に工作室があって、鋼材や溶接機など社員は自由に使ってよかったのです。
そのころからの風習でスタンドを2輪用品店で買った記憶がありません。

ZX10R用はホイール脱着の練習をしたかったので、安直にアストロで買ったことを白状します。
スタンド1台7千円なんで、絶対作れない値段です。(中国企業恐ろしや)
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50の手習い、ミニバイクに使うフロント、リヤスタンドですが、適当な寸法が分からず
悪戦苦闘しましたが、
一応、伝統のスタンド製作儀式を終えることができました。










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去年、オカマ掘られて転倒した際に
ガソリンタンクが潰れていて
中々、修理する時間が取れてないですが
先に面倒な方をやっつけておきました。

頭の中に構想が持ち上がってくると、全てを投げうって邁進するクセがあります。
若干修正したい部分があるのですが
時間オーバーなので、またの機会にします。






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なぜ前後タイヤを浮かせる必要があるかというと、ロード用のハイグリップタイヤは
適性温度を保たないと性能を発揮できないので、走行前にタイヤウォーマーで温めておくためです。

オフロードやツーリング用のタイヤはタイヤ温度に関係なく広いレンジで使えることが特徴ですが、サーキット走行は条件が一定なので、これをやることで、グリップ性能が上がり、転倒のリスクを軽減できるというものです。

92年限りでモトクロスに区切りをつけていた自分ですが、96年からミニモト乗り始めてから
モトクロッサー手に入れる度に欠かさない伝統があります。
乗っている全てのマシンにオリジナルパイプを作って乗ってきたことです。
それは自分の乏しい技術と限られた資金で何ができるかという検証のためであったり、
誰からも教わったことのないパイプ作りの考案であったりするわけです。
そして2020年モデルもオリジナルパイプの製作を行いました。

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パイプベンダーはありませんので
チタンパイプ手曲げです。

画像は失敗の曲げです。
炙り過ぎてパイプが潰れてしまったので
使えません。
大体ひと曲げ失敗すると5千円くらい材料を捨ててしまうので
失敗する度に損失がでます。

なのでやり直すときは集中力がアップして
真剣になります。(そりゃそうだ)




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チタンパイプはバックシールドしながら溶接します。
パイプの内側が酸化してしまうのを防ぐ目的ですが
シールドされてないと曲げ加工するときに割れてしまいますが、シールドが健全に行われると材料が伸びても割れずに加工できます。








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パイプの口元とジョイント部は潰れないように2重板にして耐久性を確保しました。

レゾネーターはノーマルパイプに倣って同様の容積のサブ・チャンバーを取り付けました。










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口元はエキゾーストフランジのテーパーに食い込む形で組み付けるるのですが
二重パイプでバックアップしておかないと
排気熱でチタンが柔らかくなっている状態で
テンションスプリングの力で口元が潰れていくので、それを防止する構造にしています。










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材料代が高価なので販売はできません。
KTMのパワーパーツなどで注文していただいた方が楽だと思います。

私は製造者の宿命なので、自作してみただけです。





ファクトリー・パイプには不定期ですが、続編が公開されると思います。


トレール車のDT230は扱った実績がありませんので、チャンバーのラインナップにもありませんが
半年前からご依頼の改造車のDT230用チャンバーを作る順番がきましたので実行しました。

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先ず、大きなラジエターが付いていますが
明かにフロントフェンダーがラジエターコアに衝突すると思い
フロントフェンダーの位置をタイヤとスレスレに近く付け直し
下側のホースを切り詰めてラジエターをフレーム側に寄せました。

これでフロントフォークのトップキャップを外してフルボムさせてフェンダーとラジエターに隙間があることを確認しました。

エキパイの正面にラジエターがあるのでエキパイを前側に出すことはできません。


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この車体最大の特徴はリヤフォークがガルアームに換装されていることです。

そのためかサイレンサーを止める位置が高くなっているので、チャンバーを後ろ上がりにすることにしました。
折角のガルアームなので、そのスペースを活用したのですが
リヤサスのリンクがフレーム真下に存在するので、チャンバーを内側に追い込むことはできませんでした。




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RZ125の車体ならタンデムステップのブラケットに倣ってサイレンサーを取り付けるのですが
この車体にはタンデムステップは廃止されています。
そのためチャンバー・ミドルマウントはステップブラケット下側に
サイレンサーはシートレールからステー増設で取り付けてあります。

試乗はしてませんが2スト230ですから
相当速いバイクのような気がします。
シングルなので運動性も250ツインより上でしょう。
ブレンボの前後キャリパーがスピードに見合った制動力を発揮してくれると思います。
どうぞご安全にお乗りください。