150でレースしなくなって、早いもので8年経ちました。
メンテナンスノートの記録が2012年が最後でしたから。
前の記事で2020モデルに乗ってみたら、明らかにチョット違うと書きました。
それで思い立ったエンジンオーバーホールです。「20モデルと同じにしたい」
パワーに影響する部品は総取り替えです。
クランクシャフト、4軸のベアリング、ピストン、シリンダー、シリンダーヘッド、カムシャフト、IN・EXバルブ
部品代は15万円ですが、新車の3割くらいの出費で同じ走りなら悪くないと思いました。
4軸のベアリングは左右のケースから抜き取り、ケースをストーブで温めて
ベアリングの自重で落とす焼き嵌めです。
圧入面に僅かな傷で軸芯が狂うのを防ぐ方法です。
ケース内のゴミは完全に除去しないと仕上がりが違ってきます。
組立てより前処理の時間が圧倒的に長いですね。
自分でやるから工賃はゼロですが深夜残業代はでません。
20モデルが10モデルと違っていた理由が分かりました。
ピストンと燃焼室形状が変更されていたのです。
品番でみると12モデル以降が現行のピストンとヘッドで共通です。
カムシャフトも変更ですが、これは旧型カムシャフトのリコール対策品を適用したものでしょう。
初期型は鋳造カムシャフトでしたが
市場で折れるトラブルが出て製法が改良され強度保証されたと思います。
カムプロフィールは共通なのでパワーに影響する変更ではなかったです。
左がNEWヘッド、右が10モデル。
10モデルの方が燃焼室が狭いのですが、NEWピストンの頭が高く、新型はそれを逃がす形状で
燃焼室が拡大されている様子です。
左のNEWピストンはインテーク側のバルブリセスが広い面積であることが分かります。
そのためピストンの最頂部が高いのですが
インテーク側の斜面を利用して吸気のスワール(縦渦)を生み出す効果があると思われます。
混合気のスワールは燃焼効率に寄与する効果でパワーフィーリングを改善させているでしょう。
何より人間テスターとしての能力が腐っていなかったことで安心しました。
燃焼室だけでなく、ピストン裏側のデザインも興味深いです。
左がNEW、右が10モデル
NEWタイプはスカートが少し拡大され
首振り対策されています。
同時にピンボスとスカートを繋ぐリブが内側に寄せられ剛性アップに寄与していると思います。
ピストンは燃焼圧力をピストンピンで受け止めるのでピンボス周りの強度が低いと頭頂部の真ん中から割れてしまうのです。
ピストンのクラックは最もエンジンブローの原因として多いトラブルなので
補強されていると安心して酷使できます。
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