2020年12月アーカイブ

最初はメールでの修理問い合わせでした。社外品の修理は原則的にやりません。
それは社外マフラーメーカーの企画で販売されたものが、どのように処理されても私には無関係だからです。とにかく関わらないことが一番です。
しかし生真面目にメールの問い合わせに回答してしまったおかげで、やらなくていいことを引き受けることになってしまいました。

最初に送られてきたメールには、まだ購入してない凹んだエキパイの画像が添付されており、おそらくオークションサイトの出品画像だったと思います。
その時点では依頼者さんも現物を確認してない状態だったと思います。
しかも運の悪いことに、車体持ち込みで修理するエキパイを預かる日に急用で外出しており約束の時間に戻れませんでした。
そういうわけで、凹んだエキパイ現物を確認しないまま工場前に置いて帰られました。(連絡先教えてないから仕方ないね)

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CBR400ですね。作業の妨げになるのでカウルを外しました。

ノーマルのエキパイが露わに、
これはフィッティング作業のため外します。

純正マフラーは三恵技研製、私の知るかぎり国内で1番のマフラーメーカーです。
生産数、塑性加工技術、部品制度
どれをとっても、このメーカー以上のものはないです。
企業間取引しかしないので
一般顧客とは純正パーツしか関わりない会社です。


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これは凹んだエキパイ、
このように大部分に歪が入ったパイプは直りません。
いくら安くても、このようなものを購入してはいけません。

事前に現物確認できればお断りするのですが、車体ごと置いて行かれたのですから
マフラーが装着できれば、目的は果たせるのだろうと思い、
代わりのエキパイを作ることにします。




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スクラップ同然の中古品を購入するくらいですから予算も少ないと予想されます。

同寸の鉄パイプ曲げて
集合部分にフィッティングしました。

3次元曲げはワンピースでは無理なので
3分割で1本になります。
2本で合計6R曲げです。

曲げ角度が微妙で難易度が高かったです。
絶対一発では無理ですね。

まあ取りつけばOKでしょう。


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事前に聞いてない問題が次々発覚。

衝突の影響でミドルパイプのマウントステーは吹っ飛んでいることは聞いていましたが

O2センサーのネジサイズが違っていて
センサー取り付け用のネジを作らねばなりません。

サイレンサーのマウントもノーマル位置とは離れた場所にあるため
マウント用アダプターも必要です。

事故車から取り外したマフラーを売るやつの不親切さが垣間見えますね。

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なぜかセンサーボスのネジサイズが違っていて、変換アダプターがあるかどうかわかりませんが、取り寄せていると時間がないので
ステンレスナットにリタップしたものを溶接しました。








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スチールパイプを潰れたエキパイから
曲げカーブを推測して作りました。

錆止めの耐熱ブラック塗装です。










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ミドルパイプのマウントステー、O2センサーなど取り付け確認。













IMG_0936.JPGサイレンサーマウントはノーマルと70mm穴位置が違っていたので
アダプター作って装着しました。

この商品はどうやって取り付けるかは知りませんが、支給されたものだけで組み上げるために必要な作業でした。





これで年内の物つくりは終了とします。

土地の境界にブロック塀ができたので
地面を埋め戻したら
備品棚の移動に取り掛かり、
片付け終わってすっきりと正月を迎えたいものです。


隣の空き地を駐車場として借りているのですが、地主が土地の境界にある塀を撤去して、新たにブロック塀を作る工事を発注してしまいました。
狭い敷地内に資材置き場として塀に沿ってスチール棚を置いて、雨に濡れないように屋根も設置してあったのを工事の妨げにならないように移動させられました。
丸一日掛かって物置の移動をやりましたが、ブロック塀が完成したら元の位置に戻さなければなりません。
年末の忙しい時期になんと迷惑なことか、当然、資材置き場の移動や復元に掛かる人件費はでません。
本気で隣の空き地を売りに出したいようなので、駐車場が無くなってしまうため預かり車両の保管場所も
縮小されることになるので、なるべく長く土地が売れないことを祈ります。(こんな場所買う人いるんかな)

357のチャンバーは見通しが立ったので、今度はサイレンサー作りです。

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スチールプレートのオーバルパイプを巻いて
パイプエンドの蓋をプレス成型しました。

ピッチリハマると気持ちイイです。



今回は2個取りになります。







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パンチングとジョイントパイプを接合して

オーバルパイプにグラスウールを巻いて差し込みします。


ジョイントパイプは車体レイアウトに合わせて微妙に曲げてあります。
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グラスウールを詰めたらパイプエンドを溶接します。

この溶接性のため嵌め合い部分をキッチリ作る必要があるのです。










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サイレンサー本体の組み立ては終わりました。

オーバルの上側に切り欠いた部分がありますが、取り付ける357のフレームがファクトリー仕様のため、リヤショックがレイダウンされています。
そのためリヤフレームに補強のガセットが増設されていて、それを避けるための切り欠き加工をしています。

なるべく見本に忠実に加工を行っています。


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マウントブラケット取り付けできました。


実は、このサイレンサー位置は満足でありません。

チャンバーテールパイプの向きがシビアなのでサイレンサーの取り付けも適切なポジションになりにくい為に
ラバーマウントステーも新造することにします。



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マウントステー2台分

フラットタイプがサイレンサー用
オフセットタイプがチャンバー用

マウントボルト2軸の締め付け面の高さが違ってきます。







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サイレンサー取り付け位置が満足でないというわけは、これです。

フェンダーに穴を開けてテールパイプを貫通させているのですが
リヤタイヤがボトム時にサイレンサー内側を擦ってしまうと思うのです。

オリジナルサイレンサーも形状に苦心の跡が見られたので、新たに作る場合は改善を試みることになります。




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新しいマウントステーにより
サイレンサーを左側に寄せて取り付けたので、タイヤクリアランスが3mm取れました。


これがオリジナルだと言い張っても誰にも分らないと思います。

長期滞留車が3台もあるのに、今年中に終わりそうなのは1台だけ
1週間掛かりきりで途中なのですが

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73、74年ころのCR250Rということですが、私は全然わかりません。

製造年が小学6年か中1の時代ですから
オートバイ雑誌初めて読んだのが中2のころなので知っているわけないです。
中2でようやくロードレースだのモトクロスだの競技名を知ったくらいで
2輪車の知識は殆どゼロだったのですね。

それから46,7年経ってパイプだけ作るという使命を預かるようになりました。
無限の協力メーカーで作ったと思われるパイプが見本なのですが、こんなレイアウトでOK出たのかな、という
形状なので悩みました。

シリンダーヘッドとパイプのすき間が僅かで口元引きに抜こうとしても無理でした。
しかたなくフランジボルトを外し無理やり取り外せた感じだったので、新たに作る場合は脱着性を考慮しなければなりません。

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なるほど、どうやってもこの展開図では
シリンダーヘッドが近くなってしまうのだなと思い、エキパイ部分のカーブで若干上方に
レイアウト変更してギリギリクリアした感じです。

それでも外すときは、この角度しか無理!という知恵の輪でしか外れません。







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サイレンサーの位置に自由度がないため

後ろ側も左右上下、がんじがらめになって
クリアできる奇跡のレイアウトでした。

大体、ヤマハやスズキも当時のアップチャンバーはすき間1mmのがんじがらめばっかりなので、レイアウト検討鍛えあげられているのですね。

このあとサイレンサーもレプリカ作って
さらにもう1台分作るので、年末まで掛かることは想像できるでしょう。



あと3週間足らずで年末ですが、最近預かりの車両が多くて置き場所に困っています。
そのため依頼を受けている車両も、仕掛りの仕事が完了するまで待機してもらっている状況です。

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現在新規の受注は中止しています。

来店されて打ち合わせの上、依頼される仕事が増えていて
電話やメールで問い合わせいただく仕事に手が回らないので、来店してお持ち込みの修理か製作の業務に専念することにします。

従いまして当分の間(来客が途切れるまで)
通信販売のお引き受けはできません。

これまでにお問い合わせいただいたお客さんの中で、お名前、住所、電話番号をメール送信していただいた履歴が残っているご注文に関しましては
来客の仕事が途切れた段階で、着信順で
ご注文の意思確認をして受注していくことにします。

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これは、さっき出来上がったばかりのサイレンサー。

明日から次の車体に取り掛かります。
同時進行は無理なので、一件一件手作業です。

おそらく次の車に付けるマフラーが年内に終わるかどうかというところです。

納期のお問い合わせは、分かりませんので
ご遠慮ください。

今日はMCFAJ最終戦。「今年のマシンは今年の内に」実行するため10月から3連戦やってきました。
1日4ヒート出走は若いころでもやってない挑戦。本当は2ヒートで十分なんですが3ヒート目に疲労がピークに達し、4ヒート目は何も残ってない感じです。
来年はどうするか全く考えてないですが、人間は苦しかったことを忘れる生き物なので、またやるかもしれません。
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前日にバッフルの仕様を変えて騒音計測したチタンサイレンサー

計測結果は最大で111.9dBでした。
2mMAX法で何度か測りましたが
全部これ以下の数値です。
規定上限ギリギリという、これ以上望めない
消音性能が実現できたので満足です。

また、ステンメッシュを外したので、アフターバーンがでます。
アウターバーンのときは完全に騒音オーバーするのですが
アフターバーンが出ないアクセルの開け方を試しました。
このマシンはFCRキャブレターなので加速ポンプ付きです。
そのためアクセル急開したときに燃料がリッチになり、燃え残った燃料がマフラー内で着火するのがアフターバーンです。
これを起こさないアクセルの開け方は、エンジン回転を緩やかに上昇させ全開にすることです。

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昼休みの語らい

ビッグネームの人たちと同じレースを走るので光栄なんですが、
速さが違い過ぎるので
もう一クラス設けて、別のレースで走った方がいいと思うのですが台数が増えないので
しょうがないですね。

最終戦の成績は150が5位、6位で総合6位
フルサイズは11位、16位の総合14位
後半に向かって疲れて成績が悪い傾向がありますね。
また鍛えなおさなくては。


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今日は快晴で風も穏やか、いつもこんな状態ならレースも楽しいですね。

コースは全日本翌週ですが、ジャンプを低く削ってあって危なくないのでオジサンには優しいです。

なにより福本さんが熱心にコース整備していただいたお陰で安全に快適なモトクロスができました。

政府は,、あと10年でガソリンエンジン車の販売禁止することをを発表しておりますが10年後のモータースポーツは今までどおり継続することができるのか、
動向を見守ると同時に
終焉が訪れるとしても自分たちが生きてきた証として最後まで走り続けてきたいと思います。


組みあがったサイレンサーの音量計測と実走確認してきました。

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完成品の重量は1.4kg
最も軽い4ストローク用サイレンサー
・・ではないだろうか。














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コールド・スタートなので、5分ほど暖気運転してから騒音計測します。

2mMAXで106.1dBでした。
規定は112dBなので、かなり余裕があります。

これはスパークアレスターの効果ですね。
ステンメッシュが火炎の温度を奪うので
サイレンサー出口でアフターファイヤーが起こらないことが、騒音低減に起因すると考えられます。

アイドリング時、ノーマルより抵抗がある感じがしましたが、アクセル開けていくと十分な加速が得られたので、パワーフィーリングは思ったより悪くないです。ジャンプの飛距離や加速感に問題はなかったのでOKですが
バッフルをもう少し拡大してもいいかもしれません。

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バッフルを交換するのにリベットを外して
リヤパイプを抜く必要があるので
レース前日にバッフル拡大したもので再確認してみたいと思います。