一番の難関は中が錆びた鉄タンクでした。
事前に内容が分かっていれば着手しない方が無難でした。
どんな状態でも直せるわけではないです。やってみないとわからない部分ですが
運が悪ければ修復不能になってお返しすることになります。
XT500のタンク
グラフィックから初期型76年式でしょう。
上側は特に問題なさそうに見えますから
再生して使いたい気持ちはわからないでもないですが
45年経過した鉄タンクの中はガソリンタンクの貞を成していなかったです。
タンク下側の外観は、右側のタンク底に金属パテのようなものを塗りたくってあります。
おそらく腐食で穴が空いて
ガソリン漏れを起こしていたのでしょう。
左側のタンク底は処置されてないですが
複数の穴が認められます。
ピンホールが数点見えます。
ガソリンが漏れるには十分ですが
右側マウントブラケットの下あたりは
完全に朽ち果て、大きな欠損が見られます。
このまま廃却か、切り取って新しい鉄板で塞ぐか、決断が迫られます。
怪しい部分は切り取り
新しい鉄板を移植することにします。
しかし、これだけ腐食した鉄板の
ただでさえ薄板なのに
上手く溶接できるか
やってみないとわからないところです。
このような錆は溶接不可能です。
表面に残った僅かな板厚での接合になりますから
溶接時一瞬で溶けて穴が空くと思うので
慎重に溶接棒で穴あきを止めていくように肉盛りしていく必要があります。
鉄板の成型と溶接速度が遅いため
二日掛かりで鉄板の移植が終わりました。
欠損したマウントブラケットも取り外し
後で元の位置に溶接します。
水没検査でエア漏れが確認できたので
数回、穴埋めしてエア漏れないようにしました。
これでガソリン漏れは止まるはずです。
溶接ビードは削ってはいけません。
板厚が薄いのでたちまちGAS漏れになります。
幸い、反対側のマウントブラケットに欠損が無かったため治具で位置決めして
右側マウントブラケットの取り付けを行いました。
フューエルコックの穴も空けて完了です。
これでお引き渡しですが
なるべく早く、タンクコーティングを施工していただきます。
タンクコーティングはガソリンで侵されない塗料のようなもので
ピンホールくらいなら塞がるくらいの塗膜強度があります。
そのあと外側の再塗装を施せば、程度悪いですが実用上問題ないタンクに再生されると思います。
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