ホンダEGのヨシダさんが遠いところへ旅立たれる前に私に託した3輪バギーでしたが
晩年、「動くようになったら見せてくれ」という言葉に答えることが出来ずに悔やんでおります。
何が無くて動いていなかったかというと、EVのエネルギー源であるバッテリーが積まれていなかったこと、乗車するためのシートが存在してなかったという2点だけでした。
動かないバギーはスクラップ同然ですから
早々にバッテリー4個購入して
シートもスクーター用を改造してフレームに取り付けたのですが
製作者であるヨシダさんの病状を全く知らないで「そのうち見に来られるだろう」と呑気にしていたら、叶わぬ報告となってしまいました。
動力となるモーターはEG製の汎用モーターで動力軸がそのままホイールと直結している、フロントがインホイールモーターで
後輪はリジッドアクスルにチェーンドライブで駆動されます。
この駆動系の特徴は前後タイヤの外径が
大きく異なるのに前後タイヤが同じ周速で回るということです。
エンジンが動力であった場合は、前後同じ外径のタイヤと前後の周速のずれによる負荷(周速が遅い方のタイヤがブレーキとなって負荷が掛かる)を相殺するセンターデフかフリーハブが必要になります。
ところがこのモータードライブは前後輪の回転差を相殺する機構は全く付いていません。
これは、前後のモーターが一つの回路で繋がっており、前後モーター軸の回転数を同期するのではなく
負荷が同期するようになっているということです。
車体を走行させるために仕事するモーターの負荷が同じということで、センターデフは必要ないのです。
こちら側に後輪用のモーターが見えます。
モーターの軸にドライブスプロケットが直結されてチェーンを介してリヤアクスルのスプロケットへ伝達します。
ブレーキはモーター軸に付けられたディスクを油圧キャリパーで挟む方式です。
アクセルワイヤーがメインフレーム下のコントロールユニットに繋がれ
ラジオの音量調節のように0から最大まで
右手のスロットルでパワーを調節できます。
ホンダエンジニアリングは生産設備を作る会社なので、このような電気回路は得意分野でしょう。シンプルなのに操作性に問題がない車両で驚きます。
左手元のボタン操作で逆回転もできるので
バックも同じ速度で可能です。
長年止まっていた理由として
製作されて20年以上経過しているので
タイヤが劣化してエアー漏れしていました。
何用のタイヤか分からず、放置していたのですが、草刈り機やゴルフカート用が同じサイズであることが分かり左右共、新品交換しました。
バッテリー4個とタイヤ2本とシート代など
7万円近い出費で、ようやく復活した形です。
ちょっとお高い、一人乗り電動カートといったところです。
フロントタイヤはATC125クラスだと思いますが機種不明のバルーンタイヤです。
大胆な片持ちフロントアームにインホイールモーターがボルト結合されています。
サス無しなのでバルーンタイヤがショックを吸収するので乗り心地は柔らかいです。
これも製作者の遺志を継いで保存しておく
予定です。
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