2022年3月アーカイブ

事情があって再販しない機種のチャンバー、最後の製作になります。

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お問い合わせ来ても対応できませんので
これで終了というお知らせです。

製作物は左右チャンバーと口元フランジの4点です。

車体現合に必要なマウントステーと
サイレンサーは支給いただいたものに合わせてのワンオフ製作ということです。


















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実は、元々付いていたフランジに合わせてエキパイ側のスプリングフックを取り付けたので
新造のフランジに付けるとスプリングのテンションが甘いことがわかり、

1・フックを付け直す

2・別のスプリング(5mm短い)に変更

3・フランジ側フックを再加工

以上の選択肢の中から納品に一番影響がない3番を選択し、フランジ側フック部分に加工の跡が見えます。

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支給いただいたサイレンサーのフランジに
ボルト取り付けピッチを合わせなければなりません。

現物計測して数値化すればレーザー加工に外注できますが
これくらいはハンドワークでも問題なかろうということで、毎回罫書く手間を省くことと、同一性を持たせるために画張り制作して作ったフランジです。

最後にサイレンサーの捻り具合を実車取り付けで決定するので、フランジ溶接が重要工程になります。
サイレンサーの捻りが左右アンバランスになると品位が著しく劣る気がするのです。
おそらく、納車後にオーナーさんがバックビューを眺めてほほ笑むことでしょう。

この2か月間KTMショックでエンジン始動不良症候群を患って、KX250Fのインテークも確認しておきたかったのです。
いまのところ快調なので、スロットルボディ廻りの仕様を目視確認する目的です。

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サブフレーム、エアクリーナーボックス、リヤショックと外していきスロットルボディへアクセス可能となります。

FI車なんで、各種センサーやリレーと接続するカプラーが多く面倒ですが
カプラーの隙間に泥水が侵入して固まるので、スムーズに脱着するためにマディ走行後洗車したら、カプラー外して清掃すると
よいコンディションを保てると思います。

レーサーはメンテナンスフリーではないんよ。

スロットルボディーは上向きでインテークポートに少しでもストレートに吸引するようにレイアウトされています。
スロットルボディ下にダウンストリーム・インジェクター固定のビス2本が見えますが
このビス外せばインジェクター抜き取れます。
インジェクター横の緑色のジョイントロックが識別色であることが後で解ります。

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確認したかったのは、この部分です。
バタフライが全閉のとき、空気の通路はあるかどうかです。

KTMのスロットルボディはバタフライ、チョイ開けによる通路でしたが
KXはチョーク通路が開いています。
スターターノブ(チョークレバー)がアイドリング調整を兼ねた構造で
チョークスリーブにプランジャーを押し込んで
スロー系の通路を絞ります。
スターターノブを左に回して突き当たりまで緩めるとアイドリングストップします。
スターターノブを引いた状態ならアイドリングします。

KXの吸気系特徴としてアップストリーム・インジェクターがエアクリーナー通過後に燃料噴射するので
スロー系を通過する空気は予め混合気の状態になっています。
これは吸引流速の低い低回転時でも十分な混合気が得られてトルク感が増すことを狙っているでしょう。

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さて二つのインジェクターがでてきました。

茶色と緑、形状が同じなので外してしまうと
アップストリームかダウンストリームか判別つかないですね。

実はこのあと入違って組み立てしてしまい
エンジン始動はできたのですが
パワー感が損なわれていることが判りました。

やはり用途別に、それぞれ違う仕様のインジェクターでした。


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実は色で識別していることが判りました。
前出のジョイントロック、緑色がダウンストリーム側で茶色がアップストリーム側です。

最初、色の意味は分からずインジェクターノズルの穴数で推測したのが間違いでした。
茶色の方は穴数10個、緑色の方は4個見えます。
そこで穴数が多い方がマニホールドに噴射するのに適していると判断したのが誤りでした。
燃圧は同じものがかかっているので10個穴のほうが穴径が小さく、燃料が微粒子となって噴射されるはずです。
4個穴の方が穴径が大きく吐出量が多いのだと思います。
だから流速が最大になるマニホールド内に噴射するのに適しているということでしょう。

再度組み立て直して正常にエンジン始動できました。
構造確認しておくとトラブル時に対応が早いと思うので、平常時からメンテナンスしておくことに意義があります。




78年型CR250R(機種番号430)のサイレンサーです。
非分解のサイレンサーなのでどこで切断するか、修復することを考えて切断します。

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インナーパイプがどのように固定されているかわからないですが

おそらく片側差し込みになっていると推定して外筒だけ切断して中は保存したまま抜いてみる作戦です。









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年式の割には錆びもなく良好な状態です。

丁度、切ったところに隔壁がありました。
フロントパイプにインナーが差し込まれている構造ですね。









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インナーパイプはこのように収まる形です。

特に損傷はなく、このまま組み立てして大丈夫のようです。

44年前に製造のサイレンサーが良好なコンディションで残っているなんて
乾燥した地域で保存された個体に違いありません。






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新しいグラスウール巻いて差し込んでいきます。

鉄板が腐ってないので溶接作業も問題ないでしょう。










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組み立て完了しました。
鉄板表面はサンドブラストで塗装剥離されて持ち込まれていますので、何の煩わしさも無いですね。

旧品を新品素材のように扱えるということです。

抜いたグラスウールは画像ではわかりにくいですがスカスカに密度が抜けていて
丁度交換時期であったようです。

新車から12年経ったCRF150Rのフレームとリンク、前後ハブを一新しようと、塗装剥離したりブラストに出したりしていたのですが、全く進んでいません。
そろそろレースシーズン入ってきたし、組み立てしなきゃならないから表面処理開始します。

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フレーム塗装を頼むショップで
自家製アルマイトやってくれるそうなので
前処理だけやっておこうと思います。

鋳物のアルマイトですが
鋳肌のまま処理すると発色がわるいことは
想像できます。
殆どのアルマイト品は精密なCNC加工の肌に処理しているため艶があるので
それと同等の仕上がりを目指して
バフ研磨しました。



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ハブ外周はバフ研磨機で磨けるのですが
タコ穴周辺は研磨バフが入りませんので
ホビーグラインダーに細かいフェルトバフ付けて手仕上げしました。

鏡面仕上げは長時間かかるので
鋳肌が消える程度に磨いておきました。

これでアルマイトの発色がよくなることを期待します。







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1月にエンジン止まったKTM350SXです。

燃料系をメインに不具合箇所を調べてきましたが、点火も燃料噴射も異常ないことが分かりました。
しかし、エンジンはかからないまま。

シリンダーヘッドも外してバルブも点検したが圧縮も正常です。

何も異常が発見されないまま元どおり組み立てしてセルスターターを回してみます。
スターターノブを押して冷間始動はできますが、スターターノブを解除すると即座にエンストします。

さて、原因はなんでしょう。
この文章だけでエンジンの構造、特に吸気系に詳しい人なら直ぐに分かったのではないでしょうか。

転倒センサーの故障だインジェクターのリレーの問題だのと全部新品交換したのが可笑しくなってきました。
答えは、何も分解する必要がありませんでした。なぜなら、どこも故障してないからです。

スロットルボディーを清掃しながら気が付きました。
アイドリング調整スクリューを全部緩めてしまうと、バタフライが閉じて吸気の通路が無くなってしまいます。空気が流れなければエンジンは止まりますね。
スロットルボディにはキャブレターのようなパイロット系の通路はないのです。
ボディ周辺と水温をセンサーが検知し、冷間始動と判断して、適切な燃料を噴射するようにプログラムされています。

アイドリング調整はバタフライをチョイ開けして低速回転を保つ仕組みです。
このスクリューが振動で少しずつ緩んでエンスト限界までバタフライが閉じてしまったのが原因です。
アイドリング調整スクリューを締め込んで問題解決です。

Fiモトクロッサー3台目になりますが、初めての経験だったので解明するまで時間が掛かってしまいました。
お陰でカワサキのモトクロッサーも手に入ったし、350はスペアマシンということで2台持ちでいきたいと思います。ウハハハ

練習車:KTM  本番車:カワサキ  いいぞいいぞ
モトクロス・スタートの、今や必需品とも言えるローンチ・デバイス。
フロントフォークを沈めてフロントアップを抑制することで確実なスタートダッシュを得る装置ですが
誰でも使っているので、装備してないと不利です。
殆どの人は用品店で販売されているものを購入して使っていると思いますが、
人と同じことをするのが嫌いなマイノリティーの私は買うより自作派であります。
何故か?その方が圧倒的に面白いからですね。

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初めての構造なので、考えながら作りましたが
想像したとおり動作するかは
実際に使ってみないと分からないと思います。

だから図面値は無くてイメージだけで加工しました。

初めてというのは、既存のデバイスは
ライダーがフロントを沈めて
メカニックがプッシュしてセットする必要がありましたが、これはライダー自身でセットできるしくみになっています。


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セット方法はこのとおり

引っかける爪を押した位置で抜け止めピンを指しておきます。

この状態でフロントフォークに荷重をかけて
沈めたところで自動セットされます。

爪が引っ掛かったらピンを手で抜いて
スタート準備OKとなります。




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フロントブレーキをかけて勢いよくフォークを沈めるだけでセット完了

メカニックが付いてなくても一人でできます。











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外したピンはタイラップなどに差し込んでおけば捨てることなく再使用できます。

私の走るクラスはサイティングラップ後に
素早くデバイスをセットする必要があり
手間取ることがスタート前のストレスになってしまうので、何としても完遂させたかったアイテムでした。

(買ってきて付ければ手間はかかりませんが、作った方が面白いからやっていると冒頭で書きました。)