修理作業の前に国際A級ライダーほどの人が損傷したマフラーを新しい物に取り換えずに
修理して使うのか。
直接聞いてみないと分かりませんが、現役のライダーは練習車を複数持っています。
パーツ代にお金を掛けるのは本番車だけなので、練習用は最も安価な方法で直すということでしょう。
ミドルパイプが曲がっていた方のマフラーから、
潰れた部分を切断して形状を丸く整えてから溶接修理する方法です。
パイプの中に差し込める鉄の丸棒を入れて
ハンマーで叩き出します。
段階的に丸棒の径を大きいものに変えながら凹みを広げていきます。
最終的にパイプの内径に合った棒が入るように整形できたら叩き出しは完了です。
この状態では接合面は板材が伸びているので切断面をサンダーで整えてから溶接します。
取り付け不良にならないように
車体に取り付けて切断面を仮止めしてから
本溶接になります。
元通りにはなりませんが、実用には問題ない程度に直っているでしょう。
次にフロントエンドが外れて、パンチングが折れていた方です。
歪んだ破断面を整えてから溶接ですが
巻いたパンチングメタルの合わせ面の接合されてないことがパイプの強度が低い原因なので、合わせ面も溶接追加しておきます。
フロントエンドとミドルパイプは中の溶接が剥がれて分離していたので
表側からの溶接に変更します。
隙間が3mmほど空いているので溶接棒で隙間を埋めながらの作業で少し手間が増えます。
隙間全周肉盛りできたので、元の接合より
強くなっているはずです。
マウントボルト締め付け座面の端から亀裂のあったマウントステーは溶接しましたが
このままでは溶接ビードがボルト座面に乗り上げて密着できないので
緩みの原因になりますので、平滑に削ります。
3mmの板2枚が拝み合わせになっている
ところを溶接して一枚板のようにします。
表一枚の歪みを裏側の一枚がバックアップする目的です。
さらに、亀裂が発生する部分は応力が高いはずなので
応力を下げる方法は断面積をアップすればよいのです。
ここでは亀裂が入るステーの後ろ側に板を溶接追加して断面積アップにしておきました。
これで亀裂対策は万全です。
もう一つ、リヤフォークのチェーンスライダー取り付け用の5mmタッピングが舐めてしまいリベットナットで補修されていた部分。
リベットナットがビスと共廻りして締め付け不可能になっていました。
5mmネジ穴の修復です。
雌ネジのせん断強度は鉄であればネジの呼び径の半分でよいのですが
アルミは3倍のネジ長さが必要なので
5mmの半分×3は7.5mmです。
フォークの板厚は推定3mmなので強く締め付けるとネジ山がせん断するはずなので
適切な締め付けが必要になります。
ナットリベットを削り落とした穴に
10mm長さのカラーを溶接して?5タッピング穴を作ります。
ボルト締め付け座面を平坦に削ってネジ穴修復完了です。
上下2か所の施工でした。
以上4部品の修理で大体1日作業費やしましたが、全部新品交換と比較すると
10分の1くらいの費用で収まったのではないでしょうか。
ときどき、予定外の業務が発生して計画どおりに仕事が進まない理由になります。
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