CR125の最終モデルのアルミフレームですが、このような亀裂は珍しいので公開します。
19年前の機種なので純正部品も廃番かもしれません。中古フレーム探すのも煩わしいですね。
ヘッドパイプの前側、上から中央付近まで亀裂が入っています。
大変大きな不具合だと思いますが原因は何だったのでしょうか。
この素材はジュラルミンを鍛造で成形した物ですが型の合わせ面に見られるパーティングラインに沿って割れているので
製造工程で欠陥が生じてステムパイプからの荷重を受けて口が開いたと推察されます。
ここでは不具合の原因解析をする立場ではないので使用可能な状態に修復する作業をしたいと思います。
亀裂に沿って溝を掘っています。
肉厚の厚いアルミパイプなので溶け込みを深くするため溝の底から溶かすようにして
溶接強度を増すためです。
先ずパイプ部分の縦割れを溶接しておきます。
ベアリングの圧入部分は片側に大きな熱が入る溶接なので
真円が歪んで使えなくなる恐れがあります。
そのため圧入部分は切断して
新たに加工した部材を結合させる方法にします。
切断した上部に新たに加工したベアリングの受けを載せてあります。
パイプの全長は切断前に測っておいて
接合後に同じ長さになるように調整します。
ベアリングの圧入代は現品を計測して同じ寸法に加工してあります。
恐らく溶接過程で傾いてくると思われるので
パイプの内径φ45に軸を圧入して同軸度を保証しています。
軸は溶接後油圧プレスで抜き取ります。
パイプを全周溶接して修理完了です。
純正部品と見比べなければ、最初からこのような作りだったように思うでしょう。
同梱されていたボトムブラケットとアッパーブラケットを装着して操舵確認しましたが
違和感なく操舵できましたので
これで出荷させていただきます。